https://news.yahoo.co.jp/articles/850fb6a39e3dfd620ccf356f4b5b15d0f7a642f8

国会で委託先や事業費の不透明さが指摘されている新型コロナウイルス対策の「持続化給付金」。
最大200万円を支給する経済産業省の事業だが、熊本県内では、手続きを支援する
「申請サポート会場」のスタッフが身分を明かさず、運営が不透明なばかりか、
誰が最終審査しているのかも分からず、早期支給を切望する事業者に不信感が広がっている。

「1カ月以上かけて計5回も申請したが、具体的に何が『不備』なのかさえ教えてもらえない」。
経営コンサルタントの男性(64)=熊本市中央区=は、いら立ちを隠さない。

企業の社員研修などを請け負ってきたが、コロナ禍で軒並み中止。
2月の売り上げは昨年の146万円から60万円に減り、給付金支給条件を満たした。

初回の申請は、受け付け開始直後の5月2日。スマートフォンで確定申告や売上帳簿など
必要書類を撮影して送信。3日後、「内容に不備」とメールで連絡があり、書類の内容や写真の
撮り方を見直してさらに2回申請したが、いずれも数日後に「不備」とされた。

途方に暮れ、5月26日、熊本市中央区の熊本商工会議所6階に設けられた申請サポート会場を予約して訪問。
2月の売り上げを帳簿ではなく、用意された紙に手書きした以外は「問題ない」として、
担当者が代行申請したが「不備」となった。

6月7日に再訪。「申請者カルテ」「補助シート」という書類に、今まで申請した内容を再び書かされ、
担当者がパソコンに入力した。不信感を募らせていた男性は、会場の責任者と名乗る男性に
「担当者が受理した旨を一筆書いてほしい」と願い出たが、「あくまで電子申請の支援。受理を保証する権限はない」。
11日現在も結果は届いていない。

熊本市の会場が開設されたのは5月12日。熊本商工会議所は「会場を提供しているだけで、
運営は事業を受託した別の事業者が行っている」と話す。

事業は、経産省から一般社団法人を経由して大手広告会社の電通へ再委託され、電通からさらに外注されている。
6月11日、会場にいた委託先の関係者という男性は熊日の取材に対し、「約10人のスタッフで、パソコンなどで
うまく申請できない人の代行をしている」と答えた。

その場で、県内の全8会場の統括責任者に連絡を取ってもらったが、「混乱を避けるため、事業者名や業種、
数など一切答えられない。個人の名刺や身分証明書も見せられない」とした。

熊日のSNSこちら編集局には「手順に沿って何度申請しても受理されない」「申請から3週間、何の音沙汰もない」
「相談電話がつながらない」といった声が寄せられた。

所管する中小企業庁は11日も「担当者が不在」と繰り返した。経営コンサルタントの男性は
「多くの人が事業継続の瀬戸際なのに、公金を使った国の事業としてあまりにずさんだ」と語気を強めた。


持続化給付金の申請サポート会場で代行申請してもらった男性に届いた「内容の不備」を伝える通知。
具体的にどこを修正すべきかという明確な指示は書かれていない
=9日、熊本市中央区の経営コンサルタントの男性宅
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200612-00000001-kumanichi-000-view.jpg