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読売新聞オンライン

【独自】香港「国家安全法制」可決なら、日本も当事者に…政府「遺憾」表明へ
(写真:読売新聞)
 政府は、中国による香港への国家安全法制度の実施法案が可決された場合、中国に「遺憾」を表明する方向で調整に入った。先進7か国(G7)が17日に出した共同声明での「重大な懸念」より踏み込んで、日本政府の厳しい姿勢を打ち出す構えだ。

 国家安全維持法案は、28〜30日に開かれる中国の全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員会で可決される可能性がある。国家分裂などの反体制活動を中国当局が取り締まれるようにする内容だ。

 政府が他国に申し入れを行う場合、「遺憾」は「非難」の次に厳しい表現となる。遺憾の表明は、沖縄県の尖閣諸島周辺への中国公船による領海侵入など、直接的な国益に関わる問題に使われることが多い。今回のような他国の政策に対して出すのは珍しいという。

 香港には約1400社の日系企業が進出している。政府は法案が可決されれば、「香港の『一国二制度』に基づく『高度な自治』が揺らぐ事態で、日本も当事者となる重要な問題だ」(高官)と位置づけている。

 政府は今回の問題で、中国に対する発言内容を徐々に厳しくしている。菅官房長官は、全人代で導入方針の審議が始まった5月22日に「高い関心を持って注視」していると述べ、25日には「強い懸念」を表明した。外務省は28日の方針採択時に駐日中国大使を呼んで「深く憂慮している」と申し入れた。

■米、中国に対抗 当局者ビザ規制

 【ワシントン=蒔田一彦】米国のポンペオ国務長官は26日、香港の自治や人権の抑圧に関わった中国共産党当局者らに対し、査証(ビザ)発給を制限すると発表した。

 ポンペオ氏は声明で、「中国共産党は、香港の『高度な自治』を損ねる動きを加速させてきた」と非難した。ビザ発給制限は退職した元当局者も対象になるとし、親族にも適用する可能性を示した。ただ、対象者の氏名や人数は明らかにせず、具体的な制限内容にも言及しなかった。

 在米中国大使館の報道官は26日、「米国の誤った決定に断固反対する。香港問題は中国の内政問題だ」とし、米政府に措置の撤回を求める声明を出した。

 トランプ米大統領は、当局者への制裁のほか、香港に対する関税面などの優遇措置の撤廃も示唆している。中国の出方を見ながら、対抗措置を強めていく構えだ。

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