ケンタッキーフライドチキン(KFC)は、「未来のレストラン」をコンセプトに、世界初の実験室で生産されるチキンナゲットを開発中だそうだ。

 同社の発表によれば、ロシアの「3Dバイオプリンティング・ソリューションズ(3DBS)」と提携し、ニワトリの細胞組織と植物性素材から鶏肉を”印刷”する、バイオプリンティング技術の開発に着手するという。

 秘伝のスパイスを使ったあの味はもちろん、肉の食感も完全再現するべく、3DBSにはKFCからパン粉やスパイスといった材料が提供されるとのことだ。

■ 環境にも優しいバイオプリント・チキン

 KFCは昨年、植物由来の人工肉「ベジミート」を使ったフライドチキンを完成させているが、今回開発中のものは、ニワトリの細胞組織を培養したものが主成分となるので、ベジタリアン向けではないようだ。

 バイオプリンティングされたチキンナゲットは鶏肉ではあるが、一般的な鶏肉よりも環境に優しい。細胞から肉を育てると、従来の農法に比べて、温室効果ガスの排出量やエネルギー消費を削減することができるという。

 KFCの発表を受けて、3DBSは「3Dバイオプリンティング技術は、まず医療業界で広く認知されるようになりましたが、今日では肉のような食品生産でも注目されるようになっています」と述べている。

 「当該技術の急速な進歩があれば、将来的には3Dプリント肉製品をもっと身近なものにすることができるでしょう。弊社とKFCとの協力によって生み出された技術が、細胞ベース肉製品の流通を加速させることを願っています。」

■ 移植用臓器や宇宙でのヒト軟骨のプリントにも成功

 3DBSが述べているように、3Dバイオプリンティングは医療の世界で有望視されている技術だ。たとえば、この技術を使って、人間の生体組織、骨、血管、さらには移植用の臓器まで作ってしまおうと研究が進められている。
 
 つい先日は、3DBSの技術によって、世界で初めて宇宙空間において人間の軟骨細胞をプリントすることにも成功したと報告があった。

■ 今年の秋に最終試験を実施

 KFCによると、バイオプリント・チキンナゲットは今年の秋にモスクワで最終的な試験が行われるとのこと。

 それがどのようなものか詳細は明らかにされていないが、「現在流通している手法ではできないような複雑な製品を動物細胞から作る」とコメントされている。

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