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フクロウ科の渡り鳥アオバズクが毎春飛来する神社として知られる福岡県行橋市の
正八幡宮境内で、大けがをした幼鳥が“療養”している。親きょうだいから離れ1羽だけ、かごの中。
他の野鳥に襲われたとみられる右目の傷が痛々しいものの、正八幡宮のアオバズクを
間近で見られるのは珍しく、参拝者の人気者になりつつある。

広瀬正和宮司(71)らによると、今年は5月1日ごろにつがいが飛来。
7月上旬に2羽のひなが確認されたが、数日後に木から落ちている1羽を散歩中の市民が発見。
何度か木に戻したが落ちてくるため、神社が保護し近くの動物病院で入院治療。
今月1日から境内の隅に設置した高さ約1・2メートルのかごで療養を始めた。

神社には毎年、アオバズクを見に来る参拝者が絶えないが、いつも木の高い場所にいて
望遠レンズがないと見にくい。だが体長約20センチに育った療養中の幼鳥は目の前で見られるため、
子どもたちは「かわいー」と喜ぶ。「フクちゃん」と名付けて励ます人も。

けがをしたひなが巣から落ちたのは3年連続で、過去2年は保護中に死んだ。
今回は比較的元気だが「右目は見えないのではないか。野に放てば、生きていけないかも」と広瀬宮司。
だが、野鳥の飼育は鳥獣保護法で原則禁止されており、一時的な保護が限界。
親きょうだいは早ければ今月下旬にも南方へ旅立つ。広瀬宮司は「秋ごろには自然界に戻すしかないが…」
と幼鳥の行く末を心配している。 


けがをして動物病院で治療後、正八幡宮境内で保護しているアオバズクの子。右目の傷が痛々しい
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