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博多の郷土料理、水炊きの存在感が家庭で薄くなっている。
キムチや豆乳など「しっかり味」の鍋用調味料(鍋つゆ)に押されているためだという。
鶏から出るだしのうま味をぽん酢で味わう水炊きの復権へ、調味料メーカーや農協がPRに乗り出した。

水炊きは、鶏肉を長時間煮込んでとったスープとともに、野菜や豆腐を煮込んで、ぽん酢で味わう。
博多発祥とされ、全国に広がり、すき焼きやしゃぶしゃぶとともに鍋料理の定番となっている。

一方で近年、調味料メーカーは鍋つゆに力を注いでいる。キムチ、豆乳、カレー、鶏白湯など多彩な味を展開し、
鍋料理の選択肢は広がった。業界関係者によると、こうした「しっかり味」は子ども受けも良い。
市場調査会社インテージ(東京)の全国調査によると、水炊きが家庭で夕食に出る割合は下がり、
2019年下期は1000食当たり7・46回になったという。

調味料メーカー、ミツカン(愛知県半田市)の主力商品「味ぽん」は、同社7代目が福岡市の水炊き専門店で味わった
ぽん酢のおいしさに感動し、開発が始まったとされる。

ミツカンは、家庭での水炊きの存在感低下を危ぶみ、昨年12月にJA全農ふくれんと提携して福岡県産セロリを使った
水炊きのPRを展開した。同社によると、水炊きの本場九州でも鍋つゆの販売が伸びる一方で、ぽん酢は減少。
ぽん酢市場は17年をピークに縮んでいるという。

営業担当者は「味ぽんは売れてくれないと困るわが社の看板商品。新しい食べ方も試し、
水炊きとともにおいしさを再確認してほしい」と話す。


ミツカンが提案する、セロリを使った新しい水炊き(同社提供)
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