1/21(木) 9:26
ゲンダイ

 東京・大塚で漢方薬局「氣生薬局」を開く久保田佳代さんの元には、新型コロナウイルス感染拡大が報道されるようになった昨年春以降、「コロナか風邪か迷ったときのために、漢方薬を用意しておきたい」という相談が増えたという。

「東洋医学的見地では、新型コロナウイルスに対して、湿の性質が強く、毒の性質から熱化(発熱・炎症)しやすいことから、『化湿』と『清熱解毒』の治療法が有効だと考えられています。湿が体に害を与えるものに変化した『湿邪』を汗や尿として排泄し、熱を鎮める寒・涼性の生薬で熱毒の邪を除くのです」(久保田さん=以下同)

 中国では「全体の90%を占める患者のおよそ7万人に漢方を処方したところ有効率は90%以上」「漢方薬は早期と回復期にかなりの効果を発揮した」「漢方薬が軽症や一般的な症状の患者が重症化するのを減らし、治癒率を高めた」「コロナで退院した患者52例を分析したところ漢方薬を併用した治療の34例は、西洋薬のみの18例に比べて症状が顕著に軽減。退院までにかかる時間も短縮」などの報告もある。

「ただし、中国の武漢で治療に漢方薬が使われたケースでは、静脈注射で投与し、また量も日本の一般的な漢方薬では考えられないほど多い。つまり、コロナに本当に感染し重症化している場合、日本では漢方薬で治療と簡単にはいきません。一方で、家族以外と食事もしておらず在宅勤務が中心で週に数回出社や買い物で出かける程度といった、コロナの感染の可能性が低い、でも100%否定できないといった方には、漢方薬で対処する手はあります」

 久保田さんが挙げる漢方薬は3つ。

 まず「藿香正気散」。「藿香」は藿香正気散を構成する主となる生薬で、「邪(ウイルスなどの病原菌)」を体から発散させる働きがある。「正気」は、体の内外の冷えや湿気などが原因で乱れてしまった気を正す、という意味だ。

 次に「銀翹解毒散」。喉の痛みや熱っぽさを感じる時に効果がある。

「季節の変わり目や抵抗力が弱った時にひく風邪にもよく効きます」

 そして「板藍根」。これは、久保田さんが外出時に予防薬として服用しており、中国では「天然の抗生物質・抗ウイルス薬」と呼ばれている。

「体の免疫力を高め、風邪やインフルエンザの予防、B型、C型肝炎などにもよく用いられます。中国では学校で板藍根を煎じたお茶を飲ませたり、板藍根のお茶でうがいさせたりしています。食品の生薬なので、小さなお子さんにも安心して使えます。3つのうち、どれか1つ常備するなら板藍根ですね」

 漢方薬を上手に利用しよう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/a85bb52a63b126e1dfdd368eaebe8e9130c4131c
http://product.matsuura-gp.co.jp/product_topics/images/2016121916424714_91.jpg