米当局、J&Jワクチン接種中断を勧告 血栓の報告受け BBC 6時間前
https://www.bbc.com/japanese/56741601

米製薬大手ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)製の新型コロナウイルスワクチンの接種を、アメリカや南アフリカ、欧州連合(EU)が一時停止する。接種後にまれに血栓が生じているとの報告が出ていることを受けたもの。

米食品医薬品局(FDA)の13日の発表によると、680万件以上のJ&J製ワクチン接種で6件の血栓が確認された。「念には念を入れて」J&J製ワクチンの一時的な使用停止を勧告したという。

FDAは血栓の合併症で1人が死亡し、1人が危険な状態にあると明らかにした。

血栓が確認された6人はいずれも18歳から48歳までの女性で、ワクチン接種から6〜13日後に症状が現れた。

FDAの勧告を受け、米国内のすべての連邦政府施設は、安全性に関するさらなる調査が完了するまで同ワクチンの使用を停止する。州や民間の請負業者もこの流れに追随するとみられる。

J&Jは今週開始したばかりのEUでのワクチン展開を一時停止した。

ワクチン接種をめぐっては、英アストラゼネカ製ワクチンでも同様に血栓が確認される事例があり、同ワクチンの使用を控える動きが相次いだ。

J&Jはアメリカの製薬会社だが、新型ウイルスワクチンは主にベルギーにある同社のワクチン開発部門ヤンセンが開発したもの。J&Jのワクチンは、2回の接種が必要なほかのワクチンとは異なり、1回の接種で完了する上、冷凍ではなく通常の冷蔵保管が可能。そのため、気温の高い地域や遠隔地への配布が容易だ。

多くの国が数百万回分のJ&J製ワクチンを事前注文しているものの、まだ数カ国でしか使用が認められていない。

アメリカでは2月27日にJ&J製ワクチンの使用が承認されたが、米ファイザー/独ビオンテック製や米モデルナ製のものがより広く使用されている。米国内では700万人近くがJ&J製ワクチンの接種を受けた。これは、同国でこれまでに行われた接種全体の約3%にあたる。

アメリカの感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は、J&J製ワクチンの使用許可が取り消される可能性について、コメントするのは時期尚早だと述べた。

■血栓について何と

FDAと米疾病対策センター(CDC)は13日の共同声明で、「J&J製ワクチンの接種後に、まれで重篤なタイプの血栓が発生したと米国で報告された6件のデータについて、評価を行っている」と説明した。

この血栓は脳静脈洞血栓症(CVST)と呼ばれるもので、通常の血栓とは異なる治療が必要だという。

FDAとCDCはさらなる評価が完了するまで、「念には念を入れて、同ワクチンの使用を一時停止する」よう推奨した。

また、同ワクチンの「接種後3週間以内に重度の頭痛や腹痛、脚の痛み、息切れなどが発生した場合は医療機関に連絡する必要がある」とした。

■J&Jの声明

(略)

「血小板減少症を含む血栓塞栓性が(新型ウイルス感染症)COVID-19ワクチンに関連して報告されていることを認識している。現時点では、これらのまれな事象とヤンセン(J&J)のCOVID-19ワクチンとの間に明確な因果関係は確立されていない」と付け加えた。

■南アフリカも接種を一時停止(略)

■欧州のワクチン展開への影響は

世界保健機関(WHO)はロイター通信に対し、状況を注視しており、アメリカとヨーロッパの規制当局からの報告を待っていると述べた。

欧州諸国へのJ&J製ワクチンの配布が始まってからわずか24時間後に、J&Jはヨーロッパでのワクチン展開を一時停止すると発表した。ヨーロッパでは同ワクチンの接種は始まっておらず、専門家たちがアメリカの次の動きに注目することとなる。

ヨーロッパでのワクチン展開をめぐっては、スピードが遅すぎるとWHOから批判されており、今回の一時停止によってさらなる混乱が生じることが懸念される。

イギリスではまだ使用が承認されていないものの、3000万回分のJ&J製ワクチンを事前注文している。英保健省は、今回の一時配布停止が英国内のワクチン供給に影響を与えることはなく、7月末までに全成人にワクチンを提供するという目標を阻むこともないとしている。

1000万回分を事前注文しているカナダのジャスティン・トルドー首相は、現在も今月末までにワクチンの第一弾が届く「方向で進んでいる」と述べた。

ただ、「もちろん我々はアメリカの動向を注視している」とも付け加えた。

新型コロナウイルスのワクチンをいくつか比較
https://ichef.bbci.co.uk/news/800/cpsprodpb/5373/production/_117336312_vaccines_compared_nc.png