※日刊ゲンダイDIGITAL

 東京、大阪、兵庫、京都で緊急事態宣言が25日から発令されることに。新型コロナウイルスの猛威が収まらない中、東京23区から郊外への転出者が増加傾向にあることが明らかになった。

「都の統計では、1000人以上の転出者は世田谷(2289人)、大田(1507人)、品川(1219人)、港(1211人)、目黒(1106人)、新宿(1048人)、渋谷(1034人)、江東(1027人)、練馬(1021人)と、特に都心や城南地区で強い傾向が見られます。こうした転出者はコロナ禍によるテレワークの促進とよりよい環境を求めて決断したものと思われます」(不動産アナリスト・長谷川高氏)

 近年は職住近接志向が強く、都心人気と金融緩和の影響でマンション価格は高止まりしている。今でも、都心のマンション販売は底堅いという。

 しかし、多くのホワイトカラーが在宅勤務を経験。一部が郊外への移住や、都心と郊外の二拠点生活を模索し始めるなど、新型コロナの感染拡大によって、東京一極集中に変化が起こり始めている。

 こうした郊外志向は一過性のものか。それとも、定着していくのか。

 ここ数年、都心は再開発ラッシュでオフィスの供給が続いているが、一部企業がオフィス面積の縮小を検討するなど、前代未聞のことが起こっている。オフィスの供給増に対して需要減は起こるのか。

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「23区からの転出先は、鎌倉や藤沢、茅ヶ崎といった湘南エリア。そして、軽井沢、宇都宮といった新幹線の沿線エリア。あとは、つくば、府中、立川、町田、八千代、多摩地区など在来線の郊外エリアなど、東京駅から電車(新幹線)でだいたい1時間前後で行けるところに集中しているのが特徴です」(長谷川氏)

 アフターコロナの働き方は、出社と在宅併用のハイブリッド型を推進する企業が増える見込みだが、住まいの都心離れは一過性のものと話す専門家も少なくない。長谷川氏はこう話す。

「ITをはじめとする大手企業ほど、在宅勤務を推奨しているところが多く、在宅勤務が業務や生産性に悪影響をもたらしていない限り、コロナが終息しても、完全に元どおりになることはないと思っています。

 すでにお子さんが学校に通っている場合などは別ですが、例えば、湾岸のタワーマンションに賃貸で暮らしていても、毎日の出社が不要であれば、都心で20万円も30万円も家賃を支払うのはもったいと考える人は少なくないでしょう。さらに、これからお子さんが保育園に通うなどの場合、待機児童の受け入れ問題にも直面します。

 週に1〜2回会社に行けばいいのであれば、東京駅から電車で1時間程度の場所に安くて広い住まいを見つけるのは、非常に現実的な選択だと思います」

 コロナがこれまでの東京一極集中に風穴を開けたのは間違いないようだ。

■全体の3割出社が常態化するか

「コロナ前に茅ヶ崎の戸建物件の売却相談を受けたことがありましたが、当時は需要に対して供給過多で、不動産サイトには100件以上もの売り物件が登録されていて、簡単には買い手がつかない状況でした。それが今では一変しています。駅からも海からもアクセスがよく一般的なサラリーマンでも手が届く価格帯なので、今日の需要を満たしています」(長谷川氏)

 アフターコロナは、郊外でも通勤地獄は軽減され、逆に良好な環境が手に入れられるとのこと。

「昭和30、40年代に多摩ニュータウンや神奈川、埼玉、千葉といったベッドタウンに公団を始め、多くの住宅が供給されました。郊外にある自宅から、多くの人が決まった時間までに都心の会社に毎日通っていましたが、コロナの影響でこうした画一的な勤務形態が変わりつつあります。今後、郊外暮らしでも毎日ラッシュアワーの洗礼を受けることはなくなっていくでしょう。

 イギリスではすでにこの動きが起こっています。ロンドンは東京並みに一極集中が進んでいたため、政府が人口の平準化を進めるため、郊外で暮らすことを勧めるキャンペーンを行っています。日本も一度、働きやすい勤務形態を覚えてしまったら、完全に後戻りするのは難しいでしょう。東京でもロンドンと同じ現象が起こってもおかしくありません」(長谷川氏)

全文はソース元で
https://news.yahoo.co.jp/articles/01d5e4011b426e8dccf218ffac3857adee75ebcc
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