対話アプリ「LINE」の利用者の個人情報が業務委託先の中国企業からアクセスできるようになっていた問題で、親会社のZホールディングスの川辺健太郎社長は28日、個人データの移転先について「保護法制のレベルが日本と同等の国や地域に限られるべきだ」と述べた。これに中国は含まれないとの見方も示した。

 この日の2021年3月期決算発表の会見で語った。川辺氏は個人データの移転先の基準として、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の認証制度を挙げ、それにのっとった企業への移転を認める方向で議論していると説明。このルールには日米韓などが参加し、中国は入っていないとも指摘した。

 LINEに対しては、政府の個人情報保護委員会と総務省が今月下旬に改善を指導した。同社の出沢剛社長は「しっかりと改善を行い、信頼の回復に努める」と改めて陳謝した。

 LINEは、韓国のサーバーに保管していた画像や動画などのデータを9月までに順次国内に移す方針を示しているが、これに伴うコストは年20億円ほどという。

 一方、LINEは28日、スマホ決済「LINE Pay」などについて、業務委託先のアクセス権限をより厳格に管理したり、情報の持ち出しを防いだりするための対策を取ると発表した。5月中をめどに作業を終わらせる。「LINE Pay」などについては、金融庁が個人情報の管理に問題がなかったかどうか調査を進めている。(益田暢子、中島嘉克)

朝日新聞 2021年4月28日 19時43分
https://www.asahi.com/articles/ASP4X6GJNP4XULFA023.html