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新型コロナウイルスを受けた3回目の緊急事態宣言で、政府や東京都が鉄道各社に要請した電車の減便。
人の流れを抑える狙いだったが、乗客が減らずに逆に「密」を招いて中止したことについて、
赤羽一嘉国土交通相は11日の記者会見で、「次のときには適切に対応できるようにしていかなければいけない」
と反省を口にした。当初から効果を疑問視する声もあっただけに、政府の判断の是非が改めて問われそうだ。

国交省や東京都は4月25日からの緊急事態宣言に伴い、鉄道会社に運行本数を減らすよう要請。
JR東日本は、30日と5月6、7日の平日の3日間について、一部路線の通勤時間帯の運行本数を2割ほど減らすことにした。
ところが、6日朝の通勤時間帯はゴールデンウィーク前の平日の水準まで乗客が戻ったため、一部の列車では乗車率が180%を超えた。
このため、7日に急きょ通常の本数に戻した。西武鉄道もJR東に先駆けて混雑回避のために一部路線で6日から通常ダイヤに戻した。

赤羽氏は11日の会見で、JR中央線や京浜東北線、山手線などで利用者が減らなかったことに触れ、
「大変残念ながら大きな混雑が発生した」と認めた。そのうえで、「混雑が発生したことは改めなければならない」とした。
だが、減便が人流の抑制につながったかについては「もう少し分析しないとわからない」と述べるにとどめた。

しかし、JR東の深沢祐二社長は11日の定例会見で、減便について「少なくとも今回は人流は減らなかった」と明言。
今後についても「現時点で減便を行う考えはない」と述べた。

ある私鉄幹部は「減便しているから出勤や外出をやめようとはならない。発想が逆だ」と不満をもらす。
突然の減便は車両の調整や人繰りなどが複雑で、JR東の幹部は「ダイヤ変更は現場の負担も大きい」と語った。

なぜ、効果がはっきりしない対応を急きょ求めることになったのか。国交省の幹部は「鉄道だけ何かやって人の流れに影響が出るという
単純なものではないが、政府全体として人流抑制を徹底するという空気があり、大変悩みながらの対応だった」と打ち明けた。