物流拠点や商業施設、公園を複合して再開発したイメージ(日本GLP提供)
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 大阪市は31日、市の未利用地が集積する同市東住吉区の矢田南部地域の再開発を巡って、費用や役割分担に関する基本協定を開発事業者と結んだ。再開発は物流拠点と商業施設、公園の複合体を想定しており、2026年の完成を目指す。市の関係者は「何としても実現したいプロジェクトだった」と胸をなで下ろしている。

 大和川右岸に隣接する同地域は、かつて市営住宅や青少年会館などが集まるエリアだった。再開発には公園や道路を含む約5万6千平方メートルの広大な区域を一体開発するスキームで、事業者を公募していた。19年には別の公募が不調に終わった経緯がある。

 市と協定を結んだのは、物流不動産大手、日本GLP(東京)が設立した特定目的会社。提案書によると、地上4階建ての物流倉庫を2棟建設し、スーパーやカフェが入居する商業施設、フットサル場のあるスポーツ公園を計画。雇用創出や防災拠点として「地域貢献」も果たす考えだ。投資総額は約188億円を見込む。

 市役所で締結式があり、記者会見で同区の塩屋幸男区長が「公共的な視野を持ってもらえることがありがたい」と歓迎。オンライン出席した日本GLPの帖佐義之社長は「(受け手に近い)“ラストワンマイル”の利用を見込める」と市街地の意義を強調した。

 予定地には、旧市立ゆとり健康創造館「ラスパOSAKA」があった。天然温泉やフィットネス設備を備えたが、1999年の開業以来赤字が続き、10年で閉館に追い込まれた“負の遺産”。市営住宅も既に廃止となり、地元では「ゴーストタウン」と治安の悪化を懸念する声も上がっていた。

大阪日日新聞 2021年6月1日
https://www.nnn.co.jp/dainichi/news/210601/20210601022.html