新型コロナウイルスワクチンの2回接種完了から半年後、抗体量が8割以上も激減する――。米ブラウン大などの研究結果は衝撃だ。

 ファイザー製ワクチン2回接種済みの介護施設居住者や医療従事者など計212人を対象に血液中の抗体量を測定。すると、全対象者の抗体量が接種完了から2週間後に比べて半年後には84%以上減少していたという。逆に言えば、たった半年で抗体量が約16%まで激減してしまうわけだ。

■もう効かない?

 ファイザー社は今年4月、「2回目のワクチン接種後、6カ月間は高い有効性が確認された」と発表したが、実は効き目がガタ落ちなのか。

「心配には及びません」と言うのはハーバード大学院卒で近著に「元WHO専門委員の感染症予防BOOK」(三笠書房)がある医学博士の左門新氏だ。こう続ける。

「血液中の抗体の量である『抗体価』と抗体が持つ『感染防御能力』は同一でなく、両者は比例しないからです。その証拠に、別の研究ではファイザー製のワクチン接種を完了した人の感染防御能力が2カ月後に96%、4カ月後に90%、6カ月後に84%だったことが分かっている。半年たっても80%以上の感染防御能力、つまりワクチンの有効性は保たれているのです。念のために言うと、今回のブラウン大の研究は感染防御能力に言及したものではありません」

 なんでそうなるの? 左門氏によると、新型コロナは感染後にできる抗体よりも、ワクチンによってできる抗体の方がはるかに抗体価が高く、その差は数倍に及ぶため。しかも、インフルエンザのワクチンは半年で感染防御能力をほぼ失うのに、ファイザー製の新型コロナワクチンは半年後も高い有効性を維持する。だから、抗体価が約16%まで落ちても発症を食い止められるのだ。

「心配なのは抗体価の激減を聞いて『ワクチンなんか打たなくてもいい』と考える人が出てくることです。ワクチンは万一、感染した時に重症化を防いでくれる。この効果が最も重要です。とはいえ、デルタ株拡散でワクチンの感染防御能力が多少下がり、今後も低下する恐れがあるので、3回打ちのブースター接種をお勧めします」(左門新氏)

 やはりブースター接種は重要なのに、担当大臣は総裁選にかまけている場合なのか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/5edefaf14b70fec4c5d4936567d3535e008767a7