毎日新聞 2021/9/14 14:44(最終更新 9/14 23:22)

 山口県下関市の市立豊北中学校(生徒109人)が生徒に体育座りを極力させない取り組みを進めている。体育の授業や集会などでは当たり前になっている座り方だが、専門家からは「座骨にストレスがかかる」など健康面の問題も指摘されている。PTAも巻き込んだ「脱・体育座り」に生徒たちの反応も上々だ。

 きっかけは矢田部敏夫校長が4月ごろ、体育館で開かれた生徒会などで体育座りをしている生徒のつらそうな表情を目にしたことだった。生徒会や講演会、月1回の全校集会――。体育座りをする機会は月1〜2回とはいえ、長い時は1時間に及ぶ。矢田部校長を含め教職員も体育座りをしていることもあり「無理な姿勢を長時間続けることは生徒の健康に関わる」と判断した。

 対応を協議した教職員らは、入学式や卒業式など特別な行事で使っていたパイプ椅子に目をつけた。使う場合は、床を傷めないよう幅約1・5メートル、長さ約20メートルのゴム製シートを数枚敷く手間がかかることが課題だったが、椅子につける傷防止用のゴム製カバーがあると分かった。費用は同校PTAに協力を求め約140脚分を購入した。岸田宏志PTA会長(44)は「体育座りは私たちのころでもきつかった」と振り返る。

 カバーを装着した椅子は6月29日の集会で初めて使用した。生徒たちは、事前に生徒会メンバーが出した椅子を自分の場所まで運ぶ。集会は通常より5〜10分開始が遅れたが、矢田部校長は「慣れれば時間もそれほどかからなくなる。子どもの健康を考え、今後も椅子の使用を続けていきたい」と話す。

 集会後、生徒たちからは「お尻が痛くて話に集中できなかったので良かった」「スカートなので床に座るのが嫌だった。椅子はうれしい」などの声が上がった。校内で体育座りをするのは体育の授業での数分だけになったという矢田部校長は「学校現場は子どもたちに無理を強いている場面が多く、体育座りもその一つ。(全国的に)見直しの動きが進んでほしい」と話す。

     ===== 後略 =====
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