2021/09/20 22:51

 自分の生活やマスメディアへの不満が強い人ほど、偽情報を信じやすい――。国際大グローバル・コミュニケーション・センター(東京)の研究チームの調査で、そんな傾向が明らかになった。センターの山口真一准教授は、新型コロナやワクチンを巡るデマや陰謀論の拡散にも、こうした心理や考えが影響しているとみている。


 アンケートは2020年9月、15〜69歳の男女約6000人にネットで実施。「PCR検査は普通の風邪も検出する」「5Gがコロナを広めている」などのコロナ関連と、政治関連の計20の偽情報について聞いた結果、約半数がいずれかを見たことがあった。誤りと見抜けなかった割合は56%だった。

 研究チームは不満などとの関係を分析。「人生」「人間関係」「収入」などに「不満・不安を感じるか」を7段階で尋ねており、強い人ほど偽情報だと判断できる確率が低かった。

 マスメディアへの不満が強い人は、その傾向がより顕著だった。

 「客観的な事実と、発信者の意見を区別できるか」といった情報リテラシー(読み解く能力)を調べる質問もしており、区別して理解するのが苦手な人のほうが、偽情報を信じやすい結果が出た。ツイッター情報への信頼度が高い人、ネットの利用歴が浅い人も同じ傾向が見られた。

 山口准教授は「ワクチンに関する情報も、怒りや不安を感じた時は拡散する前に『本当か?』と一呼吸置き、他の情報源に当たることが重要」と指摘。長期的な対策として「マスメディアの信頼を高める取り組みや、情報リテラシー教育の推進が不可欠だ」と話す。

ソース https://www.yomiuri.co.jp/national/20210920-OYT1T50139/