テレビ静岡1月27日(木)
https://www.sut-tv.com/news/indiv/14305/

感染症が専門の矢野邦夫医師に爆発的に広がる新型コロナウイルスの感染拡大について見通しを聞いた。イギリスが打ち出した「マスクの撤廃」は日本では7月以降には必要だと説く。その理由は、子供たちに別の深刻な影響が出る可能性があるからだ。

Q.県内の感染者数は過去最多を更新し続けている。感染者数の増加はまだ続くか。

感染症専門・矢野邦夫医師:
今後どのようになるかなかなか読めないが、今週来週がピークかと思うが、本当に心配している

Q.もまん延防止等重点措置が適用され、川勝知事は飲食店での感染防止より「人流抑制」のためとしている。効果はあるか。

感染症専門・矢野邦夫医師:
飲食店を中心とした流行ではないので「まん延防止」は効果が限定的だと思うが、感染者の半数ぐらいが無症状で、症状ある人も軽症なので花粉症だと思って外で歩いてしまう。そういった人が出歩くのを少しでも防ぐ効果を期待しているし、5%でも10%でも人流が減れば感染が減るのではと期待している

Q.1月21日から23日までの県内の感染者を年齢別にみると、10代が26%を占めている。なぜこの世代の感染が広がっているのか。

感染症専門・矢野邦夫医師:
このぐらいの年代は集団で動きますよね。クラブや友達と一緒に動く。その中でうっかりマスクを外してしまう。友達と食事をしてしまうので、このだけの割合を占めるのではないかと思う

Q.沼津市は小中学校の部活動を中止し、一部の学校ではオンライン授業も。学校ではどういう対策を講じればいいか

感染症専門・矢野邦夫医師:
オンライン授業は大変よろしいと思う。人と人との接触が減るので。学校では先生方がいまやっていることを強化する。例えば食事中は黙食とか、マスクの着用を促すとか。しかし先生方の目が届かない部活などは感染が起こるかもしれないので、そこについては強化してほしい。

◆「7月以降マスク撤廃」必要な理由
Q.イギリスは感染がピークを過ぎたとしてマスク着用のルールを撤廃する方針を示した。日本でマスクを付けなくてもよくなる時期はいつ頃か。

感染症専門・矢野邦夫医師:
現時点ではマスクをちゃんと着用してほしいと思う。いまここで止めると感染者が増え病床がひっ迫するので。
ただ私は7月以降はもしかしたらマスクの着用をやめるのではないかと思っている。まず3つの条件がそろうからだ。

1)追加のワクチン接種
ブースター接種はオミクロンであっても重症化予防が90%ある。これが国民の多くは接種が6月末には終わる。国民全体が免疫をもてる。

2)プロテアーゼ阻害薬
これは内服薬だが新型コロナに対して極めて有効だ。リスクがある人の8〜9割が重症化を防ぐことができる。感染した高齢者がこれによって重症化しない。

3)感染力の低下
オミクロン株は重症化率が減っている。オミクロンの次にさらに感染力の強い変異株がでるかもしれないが、重症化率がもっと下がる。こういったウイルスは感染した人が軽症または無症状で出歩くことで感染者を作ることができる。重症化が厳しくなると家に閉じこもってしまうので、次の変異株はオミクロン株よりも感染力が強ければ重症化が減るだろう。

この3つが6月末にそろうので、マスクの着用をやめるのではないか。

◆もし6月以降もマスクの着用をつづけた場合の問題
感染症専門・矢野邦夫医師:
もし7月以降もマスクをしていると2つの問題点が発生する。一つは熱中症だ。夏は熱がこもってしまって、重症化とか死亡する人がかなり増えてくる。新型コロナで重症化するよりも、熱中症で重症化するリスクが高まる。

もう一つはとても危惧しているが、いま子供たちは手足口病だとかヘルパンギーナといった感染症に罹患できていない。子供の時に感染すべき病原体に感染していない。これはゆゆしき問題だ。

その中におそらくサイトメガロウイルスが入っている。サイトメガロウイルスは子供の時に感染すれば鼻風邪ですむが、大きくなって妊娠中に感染すると、おなかの赤ちゃんにダメージを与える。目や耳に障害が出たり小頭症になったりする。先天性風疹症候群のようになる。しかも頻度は先天性風疹症候群の数千倍の頻度だ。

子供の時に感染していればいいが、感染できない状況が怖い。20年ぐらい前は妊婦は9割ぐらいがサイトメガロウイルスに対する免疫を持っていたが、最近は清潔な生活をしているので7割に落ちた。
(以下リンク先で)