大阪市の歓楽街・ミナミを拠点に覚醒剤の密売を繰り返したなどとして、福岡県警が特定危険指定暴力団工藤会(本部・北九州市)系組幹部の被告(42)(住居不定)や
密売人の男ら計6人を覚醒剤取締法違反などの疑いで逮捕、書類送検していたことが捜査関係者への取材でわかった。

工藤会は県警の取り締まりが厳しい福岡を避けて密売する動きを見せており、
指定暴力団の山口組や神戸山口組が勢力を持つ地域でも活動している実態が明らかになった。

捜査関係者や起訴状によると、被告らは昨年6月、大阪市中央区南船場のホテルの一室で、覚醒剤約100グラム(末端価格約600万円)や
液体大麻約100グラム(同約300万円)を密売目的で所持するなどしたとされる。被告は黙秘しているという。

捜査関係者によると、県警は大阪府警と共同で捜査。被告や密売人の男らが偽名で宿泊していた大阪市内のホテルを捜索し、
客の名前と送り先が記載された宅配伝票や覚醒剤を使うための注射器を押収した。

同市内の複数のマンションからも宅配伝票などが見つかっており、
覚醒剤は同市内のコンビニエンスストアなどから客に発送していた。

県警は、被告らが2020年春から昨夏までに、少なくとも1000万円を売り上げていたとみている。
関西や四国地方、北海道などで約40人の客が確認され、代金は他人名義の口座に振り込ませていたという。

今回の事件で密売拠点となった大阪・ミナミは従来、指定暴力団の山口組系や神戸山口組系が「縄張り」としてきた。

暴力団排除運動や取り締まりの強化で弱体化が進む中、工藤会は福岡県外での覚醒剤密売を繰り返している。
昨年は主に県外の客に覚醒剤の密売を繰り返していた疑いで、工藤会系組幹部と密売グループメンバーが逮捕された。

県警は、工藤会が県外での違法薬物密売を拡大させているのは、飲食店からみかじめ料を取るなどの「縄張り荒らし」とは違って、
他の暴力団とのトラブルには発展しないと考えているためとみている。
https://www.yomiuri.co.jp/national/20220215-OYT1T50226/