ロシアのウクライナ侵攻を巡り、トルコ南部アンタルヤで10日に開かれたラブロフ露外相とウクライナのクレバ外相の会談では、激戦地の東部マリウポリの人道支援も議題となった。9日に市内の産婦人科・小児科病院がロシア軍に空爆されたことについて、ラブロフ外相は会談後の記者会見で、ウクライナ軍が病院を占拠しており「患者はいなかった」と主張した。

 英BBC放送などによると、空爆では子供を含む3人が死亡し、出産を控えた女性ら17人が負傷。国連のグテレス事務総長がツイッターで「この愚かな暴力は止めなければならない」と訴えるなど、国際的な批判を呼んだ。マリウポリではこれまでに民間人少なくとも1300人が死亡したという。10日の会談では、クレバ外相がマリウポリでの「人道回廊」設置を訴えたが、合意には至らなかった。

 侵攻が長期化する中、ロシア軍は各地で無差別攻撃を強めている。10日未明には北東部スムイ郊外や近郊で空爆があり、13歳の少年ら少なくとも3人が死亡。住宅地やガスパイプラインが破壊された。

 ウクライナ政府は10日、国内7カ所で「人道回廊」を開設すると発表。スムイは一部の住民が避難した。だが、マリウポリ周辺では戦闘が続き、支援物資を積んだ車は市内に入れず引き返したという。

 戦闘の長期化に伴い、難民も増加している。国連児童基金(ユニセフ)によると、国外に逃れた子供は100万人を超えたという。【金子淳】

毎日新聞

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