政府、特定技能受け入れ上限見直し 2業種増、9業種引き下げ―コロナ禍で労働需要変化

 政府は、在留資格「特定技能」で受け入れる外国人の上限数を業種ごとに見直す方向で調整に入った。新型コロナウイルス禍による労働需要の変化に対応するのが狙い。対象全12業種のうち、業界のニーズが拡大している飲食料品製造業と製造業の2業種に外国人材を集中させ、外食業など9業種の受け入れ上限を引き下げる。月内にも閣議決定する方針だ。
 特定技能制度は2019年4月に導入され、政府は当初、19~23年度の5年間で最大約34万5000人の受け入れを見込んだ。しかし、この後にコロナ感染が拡大。水際対策や雇用情勢の変化を受けて入国者数は想定を大きく下回り、今年4月末時点では7万3512人にとどまる。
 見直し案では全体の受け入れ総数は変えず、業種ごとの人数を調整する。
 コロナ禍で外食を控える動きが進んだ影響で、総菜や簡単に調理できる麺類、冷凍食品など加工食品の消費が増加し、特定技能外国人材へのニーズも高まっていると判断。飲食料品製造業の受け入れ上限を現在の3万4000人から8万7200人へと大幅に引き上げる。
 テレワークの拡大など世界的に半導体需要が高まっている製造業も、将来的に外国人の受け入れ枠の不足が見込まれるため、現在の3万1450人から4万9750人に増やす。
 2業種に外国人材を振り分けることに伴い、需要が低迷している宿泊業は2万2000人から1万1200人に、外食業は5万3000人から3万500人に上限をそれぞれ引き下げる。農業のみ据え置く。
 一方、政府は特定技能制度とは異なる「技能実習制度」について、「国際貢献という目的と人手不足を補う労働力としての実態が乖離(かいり)している」との指摘があることから、今秋にも特定技能制度に一本化することを含め議論を始める。

時事通信 2022年08月20日07時05分
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