確かにオドロキだ。

 2030年冬季五輪の札幌招致スローガンが「世界が驚く、冬にしよう。」に決まった。この標語が発表された27日のプロモーション委員会では、運営費の見直しも発表。物価上昇を理由に200億円の経費上積みが決まり、試算額は従来の2000億~2200億円から2200億~2400億円に増額。増えた分はスポンサー収入や円安に伴うIOC(国際オリンピック委員会)の負担金で賄い、市の税金は投入されないという。

 しかし、お決まりの常套句に国民の何人が納得するだろうか。東京五輪組織委員会元理事の高橋治之容疑者による大規模な贈収賄事件が発覚して以降、五輪をめぐる不透明なカネの動きが改めて露呈。JOC(日本オリンピック委員会)の山下会長や秋元札幌市長は「透明性」を声高に訴えるが、具体的な対策はいまだ何ひとつ提案されていない。

 招致委員会がアテにするスポンサー収入も、今回の汚職事件の影響で手を挙げる企業が減る可能性もある。

 施設整備費は総額800億円程度という試算から約30億円減額したものの、全体の額からすればスズメの涙。削減対策のひとつに「選手村として既存の民間ホテルも借りる」という案が盛り込まれていたが、すでに東京五輪で実施済み。何を今更の話で、「世界が驚く」無策ぶりだ。

 すでにアスリートからも見放されている。27日に引退会見を行ったスピードスケート平昌五輪金メダリストの小平奈緒(36)は招致活動への参加を要望されたことを明かしたうえで、「スポーツの純粋な楽しさをもう一度考えたいので、今は札幌五輪に関していったん置いているところ。いろいろと問題も耳にする。五輪がスポーツをする人にとって必要なものであってほしい。それを利用されたくない」と断じた。

 逆風はやみそうにない。

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