ロシア軍がウクライナ南部ヘルソン州の州都を含む地域から部隊の撤退を始めたとする中、ウクライナのゼレンスキー大統領は「41の集落が解放された」と述べ、領土の奪還を進めていることを強調しました。

ウクライナ南部のヘルソン州をめぐって、ロシア国防省は、州都ヘルソンを含むドニプロ川の西岸地域から軍の部隊を撤退させると決定し、10日に対岸の東側に向けて移動を始めたと明らかにしました。

こうした中、ウクライナのゼレンスキー大統領は10日に新たな動画を公開し、「現在進行中の作戦で、ウクライナの国旗が本来の場所に戻ったところは、すでに数十か所に上る。41の集落が解放された」と述べ、ヘルソン州などで領土の奪還を進めていることを強調しました。

また、ウクライナ軍のザルジニー総司令官は、ロシア軍がドニプロ川を挟んでヘルソン州の州都を含む西岸地域から対岸に部隊の撤退を始めたとする動きについて、SNSに「撤退はわれわれの行動による結果だ。補給システムを破壊し、指揮統制を混乱させ、敵は逃げるしかなくなった」と投稿し、作戦の成果だとアピールしました。
一方、レズニコフ国防相は、ロイター通信のインタビューで「ロシア軍は、まだヘルソンとその周辺、そして、ドニプロ川の西岸に残っていて、その数はおよそ4万人だ」と述べ、まだロシア軍の部隊の多くは、撤退していないという分析を明かしました。

そのうえで、「1日や2日でこうした部隊を撤退させるのは容易ではなく、最低でも1週間はかかるだろう」として、川の対岸にロシア軍が撤退するには、まだ時間がかかるという見方を示しました。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20221111/k10013887891000.html