ウクライナ軍参謀本部は11日、南部ヘルソン州を流れるドニプロ川の西岸の複数地点に部隊が到達したと発表し、西岸地域で、ロシア軍からの奪還が進んでいることを明らかにした。地元メディアは、南部方面部隊報道官の話として、11日だけで、神奈川県の面積を上回る「約3000平方キロ・メートル」を奪還したと報じた。

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は11日、州都ヘルソンにも部隊が入ったとし、「歴史的な日だ。国土の南部とヘルソンを取り戻しつつある」と強調した。ウクライナ側は安全確認などを行った上で正式に州都奪還を宣言するとみられる。

 露国防省は11日、西岸地域からの露軍部隊撤退完了を宣言したが、米政策研究機関「戦争研究所」は11日、一部が残っているとし、抵抗を続ける可能性を指摘している。ゼレンスキー氏は11日、「ヘルソンなどに残された露側の兵士や雇い兵、協力者が唯一救われる選択は投降だ。隠れても見つけ出す」と強調した。

 一方、同研究所などは11日、ドニプロ川にかかる「アントノフ大橋」が爆破されたと明らかにした。衛星写真によると、近くの鉄道橋も破壊された。カホフカ水力発電所でもダムの上に造られた道路の一部が壊され、一定の水が流れ出している様子がうかがえる。ウクライナ軍の追撃を防ぐため、ロシア軍が破壊した可能性がある。

 一方ロシア通信は12日、ロシアが一方的に設置した「州政府」幹部が、行政上の拠点を一時的に州南東部のヘニチェスクに置くと明らかにしたと報じた。

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