JR西日本は30日、利用が少ないローカル線の2019~21年度の平均収支を発表した。岡山県と広島県東部を走る芸備、姫新、因美線を含む輸送密度(1キロ当たりの1日平均乗客数)2千人未満の17路線30区間が対象で、本業のもうけを示す営業損益は全区間で赤字だった。同じ基準で4月に初公表した17~19年度の平均収支と比べて目立った改善は見られなかった。

 費用に対する運輸収入の割合(収支率)は、広島県東部を走る芸備線の東城―備後落合が前回と同じ0・4%で引き続きワースト。2億3千万円の費用に対し収入は100万円だった。岡山、広島県にまたがる備中神代―東城は2・6%(前回2・4%)、備後落合―備後庄原は2・1%(2・4%)。3区間とも新型コロナウイルス禍前の19年度に輸送密度が2桁にとどまり、沿線自治体が利用促進を図っているが、依然厳しい状況が続いている。

 他の線区では、因美線の東津山―智頭が4・2%(5・1%)、姫新線は上月―津山9・3%(11・3%)、津山―中国勝山12・6%(16・4%)、中国勝山―新見4・1%(7・4%)。コロナ禍もあって軒並み悪化した。

 JR西は収支の公表が廃線に直結するものではないとした上で「大量輸送という鉄道の特性が生かされていない厳しい現状を国や自治体と共有し、地域に最適な交通体系を巡る議論を加速させたい」としている。

 同社は4月、今回と同じ線区の収支を公表。特に厳しい芸備線の3区間については、存廃を含めた路線の在り方を優先的に沿線自治体と話し合えるよう、国に協力を要請している。

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