【パリ=北松円香】スイスの金融機関最大手UBSは同2位のクレディ・スイス・グループを買収する。スイス政府とUBS、クレディ・スイスが19日発表した。米シリコンバレーバンク(SVB)の破綻で金融システム不安が高まって経営不振のクレディ・スイスの株価が急落し、預金や預かり資産の流出も加速していた。SVB破綻から始まった市場の動揺は、2000年代後半の金融危機以来となる世界的金融機関の再編に発展した。

スイスのベルセ大統領はこの日の記者会見で「UBSによるクレディ・スイスの買収は、スイスの金融センターに対する信頼を回復するための最良の解決策だ」と述べた。スイス国立銀行(中銀)のジョルダン総裁は「破綻はスイスの国際的な評価に深刻な影響をもたらしただろう」と指摘した。

クレディ・スイスの株主に対し、クレディ株22.48株あたりUBS株1株を割り当てる。買収は可能であれば2023年末までに完了させるとしている。

スイス中銀はUBSとクレディ・スイスに1000億スイスフランの流動性支援枠を設定する。クレディ・スイスにはさらに追加で1000億スイスフランの支援枠を設ける。

買収交渉は市場の混乱に歯止めをかけるため、月曜日に取引が始まる前の合意を目指して進められた。主要市場で一番早く取引が始まる日本を含め、投資家の反応が次の焦点となる。

日本経済新聞 2023年3月20日 3:43 (2023年3月20日 4:27更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR1848T0Y3A310C2000000/