現在の名古屋城天守に設置されている外付けのエレベーター
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名古屋城天守の木造復元事業で名古屋市がバリアフリー対策としてエレベーター(EV)の代わりに導入する小型昇降機を開発するため、三菱重工グループのMHIエアロスペースプロダクション(同市)と10月末に約7800万円で契約を締結していたことが市への取材で分かった。試作機も作成し、2026年度までに天守内での昇降技術の確立を目指す。

復元天守のバリアフリー対策をめぐり、6月の市民討論会でEV設置を訴えた障害者の男性に対し、他の参加者から「我慢せい」などの差別発言が相次ぎ、主催した市の対応にも批判が集まった。市はこの問題の検証が終わるまでは、木造復元計画を中断すると表明している。

一方、市は昨年12月に技術公募で同社が提案した小型昇降機を採用していた。市は現時点で、小型昇降機を天守の石垣部分の地階から1階まで設置する案を示しているが、同社は「できるだけ上層階まで設置したい」と提案している。

市は開発を先行させ、5階建て天守のうち、技術的に何階までの設置が可能かを検証する必要があると判断した。

同社は航空機関連の製造物流などを手がけており、搭乗機材の技術を応用して小型昇降機を開発するとしている。市が目指す「史実に忠実な復元」を実現のため、木造天守の基本構造である柱や梁を傷めないサイズに小型化する。最大4人乗りで、車いす利用者の場合は、介護者との計2人が一度に乗れるという。(寺沢知海)

朝日新聞 2023年11月22日 19時00分
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