スーパーや鮮魚店で、冷凍のカニが安くなっている。流通の大半を占めるロシア産が、ロシアのウクライナ侵攻を巡る米国の禁輸措置でだぶついているためだ。昨季より4割安く売る店もある。贈答用や鍋用に売れ行きが伸びる年末に向け、各店は品ぞろえを充実させている。

 広島市中央卸売市場(西区)の荷受会社、広島魚市場(同)によると、贈答用や飲食店向けの今季の冷凍ズワイガニの卸値は1キロ当たり2千~3千円ほど。昨季(5千~6千円)のほぼ半額だ。冷凍タラバガニも1キロ当たり4千~5千円と昨季(7千~8千円)に比べ大幅に下がった。

 市中央卸売市場に入荷する冷凍のカニの多くはロシア産。ここ10年ほどは海外での需要も高く、価格の高騰が続いていた。ウクライナに侵攻したロシアへの経済制裁として、米国が昨年6月にロシア産水産物の輸入を禁止。在庫がだぶつき、相場が下がったという。

 広島魚市場冷塩食品部の下岡英樹次長は「久々に買ってもらいやすい価格になった。年末にかけてしっかりさばきたい」と意気込む。

 広島と山口、島根県の量販店に売り場を持つ鮮魚店のヤマスイ(西区)も商機と捉える。同社によると、タラバガニやズワイガニの小売価格は昨季より3~4割安い。ベニズワイガニやトゲズワイガニなどの安価なカニのパックも約千円から並べている。「昨季は高騰と暖冬のダブルパンチでほとんど売れなかった。今年は売り場を倍にする」と巻き返しに意欲的だ。

 スーパーのフレスタ(同)はズワイガニやタラバガニが昨季より約2割安いという。贈答用の箱入り商品を並べるほか、セールや増量もする。「商品によっては値下げした。お買い得感をアピールしたい」としている。

中国新聞社 最終更新:12/15(金) 21:43
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