Merkmal2021.12.15
https://merkmal-biz.jp/post/5083
■鉄道会社が撮り鉄トラブル抑制に乗り出す
昨今、日本では列車の撮影を楽しむ鉄道ファン、いわゆる「撮り鉄」のマナーが社会問題となっている。撮影の邪魔になるという理由で、他人に対し大声で罵声を浴びせたり、線路内や私有地といった立入禁止場所へ不法侵入をしたり、といったことがたびたび報じられている。当然、撮り鉄に対する世間の目は日に日に厳しくなっており、鉄道趣味全体のイメージダウンにもつながっている。
なぜ、これほどまでに撮り鉄のトラブルが多く、顕在化しているのか。そして、これは日本だけの特殊な事情なのだろうか。
■海外ではまだ和気あいあい?
撮り鉄トラブルが増加している原因の一つとして、インターネットの誕生とSNSの普及により、アマチュアによる作品発表の場が増えたことで、他人との差を付けるため過激な行動へと走る人が増えたことが言われている。これは日本に限った話ではなく、海外でも同じような状況で、撮影地へ向かうため、線路を横断したり列車へ近付いたりというシーンをよく見かける。
こんなことを今の日本ですれば、ニュースで取り上げられるほど大事になる場合もある。しかし、少なくとも昭和の頃までは、日本でも比較的色々なことが許されていて、駅や車庫の中へ入れてもらって写真を撮影させてもらえたり、停車している車両へ乗せてもらったり、ということが簡単にできたし、線路際に柵やフェンスがなく、比較的線路の近くまで寄って撮影することもできた。しかし近年は、安全面や社内コンプライアンスが厳しくなり、それまで目をつむってきたことが許されない世の中となった。
ところが海外の場合は、線路内や鉄道施設への立ち入りについて日本ほど厳しくなく、まだ比較的寛容な国や地域も多い。大きな都市のターミナル駅でも、線路へ降りて撮影をしている人を今もたまに見かけるし、駅や車庫といった施設も、場所によっては注意書きがなく、どこまで立ち入って良いのか判断に迷うことがある。通りすがる鉄道職員も、別に注意するわけではなく、何を撮影しているのかと世間話になることもある。
もっとも海外においても、とりわけ先進国と呼ばれる国や地域は、年々こうした規律に対して厳しくなっており、最近は日本と同じように簡単に施設内へ立ち入ることはできなくなりつつある。そのための監視カメラや有刺鉄線の設置といった対策も進められている。
その一方で、鉄道ファン向けのイベントなどでは、線路へ安全に下りられるようなスペースを設けたり、撮影がしやすい場所に列車を留置したりといった工夫も見られる。
■欧州で“盗り鉄”暴走
撮り鉄のトラブルが目立つのは、世界的に見て、日本がトップクラスの「鉄道ファンが多い国」というのも要因の一つだ。そもそも、撮り鉄に代表されるような「○○鉄」などという呼び方がある通り、様々なジャンルが存在し、それぞれに多くの趣味人口を抱えている。これは欧米など、鉄道が発達した地域との比較で見ても、桁違いに大きい。乗車するための運賃はもちろん、撮影のためのカメラ機材や鉄道模型など、鉄道趣味は元来、お金が掛かる趣味でもあるから、大勢のファンがいるということは、それだけその国が豊かであることの証でもある。
だが分母が大きければ、マナーを守れない人が目立ってしまうのは仕方がないことだ。日本以外の国でも、ホームの白線の外側に立って注意されたり、私有地に立ち入ったりという、鉄道ファンが関係するトラブルがないわけではないが、単に目立っていないだけのことだ。ファンの数が他国と比較して多い日本は、当然マナー違反を犯す人が目についてしまう結果となる。
ところがダイヤ改正を控えた2021年12月11日、ヨーロッパ各地も残念なニュースが相次いだ。同日で廃止となる列車のサボ(側面の行先表示板)が盗まれたり、ファンによって運行が妨害され、列車が遅延したりした。それも1カ国ではなく、ドイツやスイスなど複数の国に跨って発生した。このような過激な行動は過去にあまり聞いたことがなく、少々困惑している。
(全文はリンク先で)
最近は徐々に厳しくなってきたが、イベントは特別な日ということで、停車中であれば多少は大目に見てくれているところがまだ多い
https://merkmal-biz.jp/wp-content/uploads/2021/12/211213_toritetsu_01.jpg
撮影のために線路を歩くファン。もちろん海外でも線路を歩くことは好ましくないが、日本ほど大きな騒ぎにはならない。
https://merkmal-biz.jp/wp-content/uploads/2021/12/211213_toritetsu_02.jpg
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■鉄道会社が撮り鉄トラブル抑制に乗り出す
昨今、日本では列車の撮影を楽しむ鉄道ファン、いわゆる「撮り鉄」のマナーが社会問題となっている。撮影の邪魔になるという理由で、他人に対し大声で罵声を浴びせたり、線路内や私有地といった立入禁止場所へ不法侵入をしたり、といったことがたびたび報じられている。当然、撮り鉄に対する世間の目は日に日に厳しくなっており、鉄道趣味全体のイメージダウンにもつながっている。
なぜ、これほどまでに撮り鉄のトラブルが多く、顕在化しているのか。そして、これは日本だけの特殊な事情なのだろうか。
■海外ではまだ和気あいあい?
撮り鉄トラブルが増加している原因の一つとして、インターネットの誕生とSNSの普及により、アマチュアによる作品発表の場が増えたことで、他人との差を付けるため過激な行動へと走る人が増えたことが言われている。これは日本に限った話ではなく、海外でも同じような状況で、撮影地へ向かうため、線路を横断したり列車へ近付いたりというシーンをよく見かける。
こんなことを今の日本ですれば、ニュースで取り上げられるほど大事になる場合もある。しかし、少なくとも昭和の頃までは、日本でも比較的色々なことが許されていて、駅や車庫の中へ入れてもらって写真を撮影させてもらえたり、停車している車両へ乗せてもらったり、ということが簡単にできたし、線路際に柵やフェンスがなく、比較的線路の近くまで寄って撮影することもできた。しかし近年は、安全面や社内コンプライアンスが厳しくなり、それまで目をつむってきたことが許されない世の中となった。
ところが海外の場合は、線路内や鉄道施設への立ち入りについて日本ほど厳しくなく、まだ比較的寛容な国や地域も多い。大きな都市のターミナル駅でも、線路へ降りて撮影をしている人を今もたまに見かけるし、駅や車庫といった施設も、場所によっては注意書きがなく、どこまで立ち入って良いのか判断に迷うことがある。通りすがる鉄道職員も、別に注意するわけではなく、何を撮影しているのかと世間話になることもある。
もっとも海外においても、とりわけ先進国と呼ばれる国や地域は、年々こうした規律に対して厳しくなっており、最近は日本と同じように簡単に施設内へ立ち入ることはできなくなりつつある。そのための監視カメラや有刺鉄線の設置といった対策も進められている。
その一方で、鉄道ファン向けのイベントなどでは、線路へ安全に下りられるようなスペースを設けたり、撮影がしやすい場所に列車を留置したりといった工夫も見られる。
■欧州で“盗り鉄”暴走
撮り鉄のトラブルが目立つのは、世界的に見て、日本がトップクラスの「鉄道ファンが多い国」というのも要因の一つだ。そもそも、撮り鉄に代表されるような「○○鉄」などという呼び方がある通り、様々なジャンルが存在し、それぞれに多くの趣味人口を抱えている。これは欧米など、鉄道が発達した地域との比較で見ても、桁違いに大きい。乗車するための運賃はもちろん、撮影のためのカメラ機材や鉄道模型など、鉄道趣味は元来、お金が掛かる趣味でもあるから、大勢のファンがいるということは、それだけその国が豊かであることの証でもある。
だが分母が大きければ、マナーを守れない人が目立ってしまうのは仕方がないことだ。日本以外の国でも、ホームの白線の外側に立って注意されたり、私有地に立ち入ったりという、鉄道ファンが関係するトラブルがないわけではないが、単に目立っていないだけのことだ。ファンの数が他国と比較して多い日本は、当然マナー違反を犯す人が目についてしまう結果となる。
ところがダイヤ改正を控えた2021年12月11日、ヨーロッパ各地も残念なニュースが相次いだ。同日で廃止となる列車のサボ(側面の行先表示板)が盗まれたり、ファンによって運行が妨害され、列車が遅延したりした。それも1カ国ではなく、ドイツやスイスなど複数の国に跨って発生した。このような過激な行動は過去にあまり聞いたことがなく、少々困惑している。
(全文はリンク先で)
最近は徐々に厳しくなってきたが、イベントは特別な日ということで、停車中であれば多少は大目に見てくれているところがまだ多い
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撮影のために線路を歩くファン。もちろん海外でも線路を歩くことは好ましくないが、日本ほど大きな騒ぎにはならない。
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