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大学の街・京都で、モーター大手・日本電産(京都市南区)の創業者、
永守重信会長(72)による寄付金の行方に注目が集まっている。
数十億円単位の私財を大学に次々と投じ、資金難にあえぐ大学を支援している。

「税金はどう使われるか分からんが、寄付なら使い道がはっきりする。
全部使ってあの世に行くということや。教育が一番良い」

3月30日、京都学園大(右京区)で開いた記者会見後、永守氏が報道陣に語った。
2020年に工学部新設を目指す同大学を支援するため、100億円以上を
私財でまかなう構想を発表したのだ。

学部定員200人。半数ほどは留学生を想定する。大学院は100人。
実践的な研究・開発力や英語力を備えた人材を育てる。経営大学院設置も
視野に入れる。来春には自身が大学の理事長に就任し、大学名も変えるという。
永守氏は「大学を作るのが夢だった。他国と比べて日本の大学は即戦力を出せていない。
企業や社会が求める人材を育てる。金も口も出すよ」。

今月7日には日本電産が京都大(左京区)に次世代モーターを研究する寄付講座の
開講を発表。永守氏は京大の山極寿一総長と握手を交わし、今後5年間で
2億1千万円を寄付すると約束した。講座を担う中村武恒・特定教授は
「ひも付きではなく、我々のやりたいことをやれと言ってもらえたので、基礎的な原理から
じっくりと研究する。環境に優しい次代のモーターを開発したい」と歓迎した。

京都学園大では設計や生産の現場で不足する技術者を養成し、京大の講座は長期的に
同社に還元できる基礎研究に照準を合わせる。

すでに永守氏は14年、70億円の私財で府立医科大にがん治療のための陽子線施設を
寄付すると表明。関係者によると、「役所に任せると値段が高くなるから」と装置や建屋を
自身で調達しているという。