大型連休のゴールデンウィークは、普段のホリデーではちょっと行けないような遠くまでドライブしてみる良い機会だ。が、遠乗りに対し、心理的バリアとして立ちはだかるのは、世界一高い高速道路料金だろう。

 ETC搭載車であればゴールデンウィーク中は平日の5月1、2日を除き、休日割引が適用されるが、それでも高い。北アルプスの景色を見たいと思っても、東京の調布から長野の松本までほんの200kmほど高速に乗っただけで、普通車の場合で3580円も取られる。これが往復分かかるのだから、出費は馬鹿にならない。

 東北も高い。浦和から東北自動車道に乗り、宮沢賢治記念館のある花巻まで走ろうものなら、通常料金は何と1万円、休日割引でも7260円である。まるで高速道路を走るのは悪で、罰金を払いなさいと言われているようなものだ。高速道路の料金が国情によってある程度の違いがあるのは致し方ないのだが、それを勘案しても日本の高速道路料金の水準は高すぎる。

 もちろん高速道路に大金をはたかなくともドライブはできる。無料で走れる一般道を使えばいいのだ。が、日本の一般道は制限速度が低いうえ、幹線であっても混雑の激しい大都市を縦貫する区間が多く、移動距離を稼げない。遠くへ行くには高い高速道路を利用せざるを得ないというのが実情である。

 よく、ユーザーのクルマ離れに対する自動車メーカーの嘆き節を耳にするが、これは半ば当然だ。クルマにかかる税金や保険料が高いことがよく槍玉にあげられるが、そればかりではない。せっかくクルマを買っても、遠くまで出かけるたびにいちいち高い高速道路料金を払わなければならないというのでは、クルマで出かけるのが馬鹿らしくなるのも当然というものだ。

 もっぱら日本でクルマを使っていると、クルマとはそんなもんかなと思ってしまうかもしれない。が、クルマとはもっと自由な乗り物だ。

 他国を見てみるといい。たとえばオーストリアは、高速道路乗り放題の年間パスが1万1000円、観光客向けの10日券が1200円ほどだ。そのぶん燃料代は日本より高いが、それでも燃費が15km/Lの場合で1kmあたり2円程度の増加。1kmあたり税込み約27円+利用1回あたりのターミナルチャージ150円という日本の高速道路よりはるかに安い。その高速道路と、制限速度100km/hの一般道を駆使したツーリングはダイナミックそのものだ。

 オーストリアは国自体が豊かで、平均所得も非常に高いので、日本と単純比較することはできないが、こうした交通環境の良さは自由を満喫するためにクルマを買うという消費意欲の喚起に大きな役割を果たしている。

NEWSポストセブン

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