果実などを使って香りをつけた蒸留酒「ジン」の人気が高まっている。ハイボール人気で、蒸留酒を炭酸で割る飲み方が浸透したことが追い風になっているという。国内のビール市場が縮小するなか、新たな商機とみた酒類メーカー大手は、価格が高めの新商品を相次いで発売する。

 アサヒビールは6月、ユズやサンショウなどで風味を付けた国産ジン「ニッカ カフェジン」を売り出す。ジンの製法が途中までウイスキーに似ていることから、グループのニッカウヰスキー創業者、竹鶴政孝氏が導入した蒸留器を活用。原料本来の香りや軽やかな口当たりも引き出したという。希望小売価格は税抜き4500円。高価格帯の「プレミアムジン」で、9月には欧米でも販売予定だ。

 アサヒによると、1本3千円を超えるプレミアムジン市場は2016年、前年比1・5倍の伸びで、同社は今年、前年比2倍に伸びると予測する。ハイボールが人気のウイスキーとともに伸びているという。ジン専門店ができるなど、飲む場が広がっているという。日本バーテンダー協会が発表する16年度の人気カクテルランキングでは、1、2位ともにジンを使ったカクテルだった。

 また、サントリーホールディングス(HD)は7月、子会社で米蒸留酒のビームサントリーが開発に加わった国産ジン「ROKU(ロク)」を発売する。桜や玉露など6種の和素材で香りをつけ、和紙のラベルで「日本らしさ」を前面に出す。

 希望小売価格は税抜き4千円で、サントリーHDが輸入販売するジン「ビーフィーター」の3倍以上する。広報担当者は「クラフトビールと同様に、価格が高くても味や製法にこだわったお酒を楽しみたい人は増えている」と話す。

 キリンHDが輸入販売する「タンカレーナンバーテン」も実勢価格が4千円ほどのプレミアムジンだ。昨年は前年比6・2%の伸びで、今年1〜3月期は8・1%増と堅調な売れ行きが続いているという。(牛尾梓)

2017年5月20日23時24分
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