NHKニュース首都圏 06月12日18時16分

茨城県取手市で女子中学生が「いじめられたくない」と書き残して自殺した問題で、市の教育委員会は、「いじめはなかった」という判断の元で設置した第三者委員会を、12日、遺族の要望に応じて解散しました。
教育委員会は、今後、新たな調査委員会を設けて自殺の背景を改めて調査することにしています。

この問題は、茨城県取手市の中学3年生、中島菜保子さん(当時15歳)がおととし11月、日記に「いじめられたくない」と書き残して自殺したもので、
市の教育委員会は「いじめはなかった」という判断の元で、第三者委員会を設置して自殺の背景を調査してきました。

これに対して遺族が見直しを求めた結果、教育委員会は、今月になって第三者委員会の解散を決め、12日非公開で行われた会議で正式に解散しました。
第三者委員会の委員長を務めた国士舘大学の中込四郎特任教授は会議のあと会見を開き、「今まで何のためにやってきたのか憤りを感じている」と教育委員会の対応に不満をのぞかせました。

そのうえで「今後の調査に先入観が生まれる可能性があるので、調査結果は破棄する」と述べ、これまでの調査については公表しない考えを示しました。
教育委員会は、今後、遺族の意向に沿った形で新たな第三者委員会を設け、自殺の背景についていじめとの関係も含めて改めて調査することにしています。

取手市教育委員会の矢作進教育長は女子中学生の自殺の背景を調査してきた第三者委員会を解散したことを市議会に報告しました。
この中で矢作教育長は「第三者委員会は公平で中立な立場で調査してきた。調査そのものに問題があるわけではないが、『重大事態ではない』という議決に基づいて設置されたものだったことが問題だった」と述べ、
第三者委員会が解散に至ったいきさつを説明しました。

これに対し議員からは「今後はどのような調査を行っていくのか」といった質問や「誰もが納得する結論を導き出してもらいたい」という意見が相次ぎました。
報告のあと矢作教育長は「今後は遺族の要望を受け止めながら新しい第三者委員会を設置し、なぜ尊い命が失われてしまったのか、その背景について、調査を進めていきたい」と話しました。

http://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20170612/4100081.html