日本政府は16日から年次総会が始まったAIIBに対し、政府代表を派遣しなかった。
中国の現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に関する国際協力サミットフォーラムに松村祥史経済産業副大臣を派遣したり、自民党の二階俊博幹事長が出席したのとは対照的だ。

AIIBが透明性を確保できておらず、「日本が得をする案件に限って、日本主導のADB(アジア開発銀行)を絡めて参加すればいい」(外務省幹部)などと冷ややかな見方が根強い。

安倍晋三首相は16日の参院予算委員会で、日本のAIIB参加について「公正なガバナンス(統治)を確立できるのか、借り入れ国の債務の持続可能性や環境、社会に対する影響への配慮が確保されているか、運用を注視していく」と述べた。
安倍首相は5日の講演で、一帯一路について条件付きながら「ポテンシャルを持った構想だ」と評価したが、AIIBには慎重な姿勢をとり続けている。

麻生太郎財務相も16日の記者会見で「融資や審査の能力があるのか立証できていない」と指摘した。
麻生氏は、AIIBの理事が本部に常駐していないことにも触れ、「基本的にガバナンスはできない」と語った。

ただ、気になるのは米国の動向だ。日本政府内では米国が電撃的にAIIBに参加する可能性は低いとの見方が大勢だが、対中融和姿勢が見え隠れするトランプ米政権による「はしご外し」への懸念は消えていない。

配信 2017.6.16 22:41更新
産経ニュース
http://www.sankei.com/politics/news/170616/plt1706160051-n1.html