乳がんで闘病中だった小林麻央さんが、2017年6月22日夜に旅立たれたことが報じられました。麻央さんは自分のがんを公表し、その闘病生活をブログ上でつづってこられました。そして、200万人を超える人がその記事を読み、共感し、励まされ、勇気づけられました。

人生の最期を迎えようとするその生き方を、リアルタイムでこれ程多くの人から注目されてきた人は、今までいなかったのではないでしょうか。幼いお子様を遺して他界しなければならなくなったことに悔しい思いをされてきたことと思いますが、心からご冥福をお祈りしたいと思います。

小林麻央さんがブログにつづってきた闘病生活は、多くの人にとって病気になったときの生き方を考えさせられるだけでなく、人生そのものについて再考させられるよい機会となりました。

「自宅で最期を迎える」という選択

麻央さんは、2017年5月29日に病院を退院され、在宅医療に切り替えられました。

在宅で麻央さんが受けた医療とは、いわゆるホスピス医療であり、現在は「緩和ケア」や「エンド オブ ライフ・ケア」と呼ばれているものです。がんなど病気に伴う症状を緩和することによって、最後の時間を少しでもよりその人らしく生活してもらうことを目指します。がんを治すという有効な治療法を失った時、医療の中心が治療を優先する「キュア」から生活を大事にする「ケア」へと向かうのです。

緩和ケア病棟(いわゆるホスピス)は、わが国では1990年に施設の認定が始まり、その後飛躍的に増加してきました。2016年11月の集計では378施設7695床あります(日本ホスピス緩和ケア協会調べ)。そして、このような終末期医療の専門施設である緩和ケア病棟ではなく、麻央さんのように自宅で最期を迎える人も次第に増えてきています。全死亡の中でがんの病気により自宅で亡くなる人の割合、がん在宅死率は2007年までは6%台でしたが、2015年には10.4%となり急速に増加しています(厚生労働省「人口動態統計」)。

緩和ケアの中で、大きなテーマとなるのが身体の疼痛コントロールです。WHO方式の「がん疼痛治療法」が発表されてからすでに4半世紀が過ぎ、現在は世界各国で実施されて、70〜80%で鎮痛効果が得られると報告されています。特にここ10年間、疼痛治療に使うことのできる薬物の種類も増え、急速に進歩してきた領域です。

特に患者さんに知ってもらいたいことは、身体的な痛みのコントロール目標として次の3つの状態があることです。 

@ 痛みにより夜間の睡眠が妨げられない状態
A 静かにじっとしていれば痛みがない状態
B 体を動かしても痛みがない状態

つまり、身体を動かす生活をできる状態へもっていくことが疼痛コントロールの最終目標になるのです。

さらに、症状緩和においては、痛みのコントロールだけでなく、呼吸困難、咳、吐き気と嘔吐、下痢や便秘、脱水、悪液質(衰弱状態)と食思(欲)不振、腹水、吃逆(しゃっくり)など、その他の症状を和らげることも目標となります。

患者さんが、このような症状コントロールの目標を知っておくことは大切です。なぜなら、医療者と共通の目標をもつことによって、医療が患者と医療者の協働作業となり、よりよい緩和医療を実現することが可能になるからです。そのためには、患者さんが医療者に対して遠慮することなく対話をできることが前提となります。また、そのようなことが可能な医療者を探すことが大切です。

在宅でも施設と同程度のケアが可能に

ただ、自宅で死を迎えることに対して不安を抱く方も少なくないでしょう。自宅でも痛みのコントロールはきちんとできるのだろうか、容態が急変した時にはどうすればよいのだろうか、家族が介護で疲労してしまうのではないか、医療者はすぐに対応してくれるのだろうか、などです。

わが国で在宅ホスピスを開拓してきた第一任者である川越厚医師は、現在では制度も整備され、在宅でも施設ホスピスと同程度のケアを提供できると断言されています。そして、在宅ホスピスの利点を、次のように述べられています。

・自宅では束縛のない“生”を全うできる
・家には最期までその人の役割(生きる希望)がある
・住みなれた場所であり最も居心地が良い
・いつも家族がそばにいるため孤独から開放される
・家族は病院と家の二重生活をしないですむ

麻央さんも在宅医療であったからこそ、家族と濃密な時間を過ごすことができたのではないでしょうか。
続きはソースで
http://toyokeizai.net/articles/-/177847?display=b

★1 2017/06/25(日) 19:08:58.51

前スレ
http://asahi.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1498385338/