NEDOは、温室効果ガス排出量を削減するポテンシャルが大きな新しい再生可能エネルギー源として期待される、超臨界地熱発電技術について実現可能性の調査に着手します。

この調査では、
1.超臨界水の状態把握および地下現象の予測シミュレーション技術の検討
2.超臨界地熱発電の実現に必要な材料・機器の検討
3.超臨界地熱発電システムの経済性評価
4.環境影響の最小化と安全性確保の検討を実施します。

「エネルギー・環境イノベーション戦略(NESTI2050)」では、革新技術の一つとして位置付けられた超臨界地熱発電技術について、2050年頃の普及を目指しています。

■解説図:超臨界地熱発電の概念図(従来型の地熱発電との比較)
http://i.imgur.com/CNa0dbG.png

1.概要
NEDOは、温室効果ガス排出量を削減するポテンシャルが大きい有望な革新技術として、深度5km程度に存在する約500℃の超臨界水を用いた地熱発電、超臨界地熱発電に関する先導研究※1を実施してきました。このNEDOの先導研究を含む最近の研究成果から、一定の条件を満たす火山地帯の3〜5kmの深部には、約500℃の超臨界水※2が存在すると推定されています。超臨界地熱発電は、従来よりも高温高圧の地熱資源を活用する発電方式であり、1発電所あたりの大出力化が期待されます。
超臨界地熱発電技術は2016年4月の内閣府の総合科学技術・イノベーション会議において、革新技術の一つとして「エネルギー・環境イノベーション戦略(NESTI2050)」の中で位置付けられています。NESTI2050が示すロードマップでは、実現可能性調査、試掘のための詳細事前検討、試掘、試掘結果の検証と実証実験への事前検討、そして実証試験の5つのステップが組まれています。
この調査では、1.超臨界水の状態把握および地下現象の予測シミュレーション技術の検討、2.超臨界地熱発電の実現に必要な材料・機器の検討、3.超臨界地熱発電システムの経済性評価、4.環境影響の最小化と安全性確保の検討を実施します。「エネルギー・環境イノベーション戦略(NESTI2050)」では、革新技術の一つとして位置付けられた超臨界地熱発電技術について、2050年頃の普及を目指しています。

2.事業概要
【1】 事業名:地熱発電技術研究開発/地熱発電の導入拡大に資する革新的技術開発 超臨界地熱発電技術の実現可能性調査
【2】 事業期間:2017年度(単年度)
【3】 予算:約2億円
【4】 委託予定先:
 グループ(1)
 国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人東北大学、国立大学法人東京大学、国立大学法人九州大学、地熱エンジニアリング株式会社、地熱技術開発株式会社、帝石削井工業株式会社、株式会社テルナイト、富士電機株式会社、株式会社リナジス、AGCセラミックス株式会社、金属技研株式会社
 グループ(2)
 一般財団法人エンジニアリング協会、国立大学法人京都大学、伊藤忠テクノソリューションズ株式会社
 *下記【5】の調査内容をそれぞれのグループで実施する。

【5】 調査内容:
1.超臨界水の状態把握、および地下現象の予測シミュレーション技術
 地下5kmまでの大深度にあると想定される超臨界地熱資源の存在状況について、国内外の事例を元に情報を整理し、超臨界地熱資源の熱抽出の方法や貯留層の造成方法を検討する。
2.超臨界地熱発電の実現に必要な材料・機器の検討
 1.で示された資源の存在状況に留意し、国内外の掘削事例の調査により、発電システムの実現に必要な機器やその材料を検討する。
 あわせて坑井※3掘削に必要となるセメントや鋼管※4の材料について調査する。

3.超臨界地熱発電システムの経済性評価
発電システム(坑井掘削から地上設備、発電設備、送電設備等のすべての設備)の経済性を評価する。

4.環境影響の最小化と安全性確保の検討
 超臨界地熱資源の開発を想定し、掘削工事や人工貯留層造成時に発生が予想される懸念事項(例えば、地震、温泉影響、地熱流体の暴噴等)についてリスク評価を実施する。

【用語解説】
※1 先導研究
 2014〜2015年度 NEDOネルギー・環境新技術先導プログラム/島弧日本のテラワットエネルギー創成先導研究
※2 超臨界水
 温度374℃、圧力22MPa以上の状態の水(純水の場合)
※3 坑井
 地下の地質構造の探査や地下資源の採取等を目的に掘削された穴
※4 セメントや鋼管
 坑壁崩壊の防止、地層からの坑内への水の侵入や坑内から地層への地熱流体の流出を防止するために使用するもの。

http://www.nedo.go.jp/news/press/AA5_100789.html