記録的な豪雨で約20人が亡くなり、なおも安否不明者の捜索が続く福岡、大分両県の被災地。家を流されるなどした1800人以上が避難生活を余儀なくされ、断続的に襲う大雨や高温が体力を弱らせている。
避難所が転々と変わったり、集落が孤立したままだったりするケースもある。「いつまで続くのか」。豪雨から5日目。被災者は疲労の色を濃くしている。

「まるで蒸し風呂のようだ」。39世帯約70人が避難する大分県日田市清水町の三和小学校体育館で、険しい表情の住民たちが漏らした。
同体育館には空調設備がなく、室内温度は30度以上。8日には暑さで80代の男女2人が熱中症の症状を訴え、治療を受けた。

市は9日、空調のある施設への移転を決めたが、移転先は十数キロ離れている。「遠すぎる」として移ったのは9人にとどまった。「暑いけど地区の仲間と一緒にいたい」。被災者の山本史郎さん(60)は話した。
日田市では施設周辺への土砂災害の恐れから、避難所を次々と変更するケースも。会社員の中山博さん(57)は避難所を3回移った。「何度も移転して疲れている人もいる。もう遠くに行きたくない」

約160人が身を寄せる福岡県朝倉市の総合市民センター「ピーポート甘木」。畳46枚分の大部屋に34人が生活している。1人当たりのスペースは布団1枚ほどで、仕切り板はなく、プライバシーもない。
「夜は、あちこちで声がするし、人の出入りがあるから寝られない」。同市黒川地区から避難してきた手島昭年さん(77)によると、体調を崩して病院に搬送された人もいる。

福岡県東峰村などでは、道路の寸断でなお孤立する集落住民を、ヘリコプターで安全な場所に搬送する救助活動が続けられている。

東峰村宝珠山の竹地区は8日に孤立状態が解消されたが、林道が崩れ、救援物資を運ぶトラックは通ることができない。
電気、水道も止まったままで、10世帯いる住民たちは地域の交流館に集い、畑で取れた野菜を持ち寄るなどして共同生活を送る。

住民の小野祐子さん(64)は、湧き水や川の水で衣服を洗濯し、近くのキャンプ場の風呂場で体を洗う。「電気と水が止まっているのが一番困る。元通りになるのか不安だ」。歩いて避難する体力はないという。
朝倉市の避難者は約1100人に上る。一方で、家畜の世話や、足腰が悪くて動けないなどの理由から、自宅にとどまる人、車で夜を明かす車中泊をする住民は少なくない。市も「実態の把握を急いでいる」(市災害対策本部)という。

避難所を巡回し、住民の体調を管理している同市の土井巧保健師は「不安から血圧が高くなり、眠れない人が多い。エコノミークラス症候群や食中毒、熱中症に気をつけなければならない」と表情を引き締めた。

大型の扇風機が設置された避難所。熱中症対策のため避難所の移転について説明を受けた住民からは、一部で複雑な声も漏れた=9日午前8時46分
https://www.nishinippon.co.jp/import/national/20170710/201707100001_000.jpg?1499635682

配信 2017年07月10日06時00分 (更新 07月10日 06時27分)
西日本新聞朝刊
https://www.nishinippon.co.jp/nnp/national/article/341935/

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