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「人為的な株高」

安倍晋三首相の私的アドバイザーである元日銀審議委員の中原伸之氏は6月29日のインタビューで、「2%物価目標達成のために、なぜETF購入が必要なのか分からない」と指摘。巨額のETF購入は「人為的な株高」という弊害を引き起こしていると批判した。

全国銀行協会の平野信行会長(三菱UFJフィナンシャル・グループ社長)は13日の会見で、流動性の低下により日銀保有比率が大きな銘柄や浮動株が少ない銘柄の価格変動が大きくなることや、日銀が実質的な大口株主となることによる企業統治のゆがみなど、日銀のETF購入には「さまざまな課題も指摘されている」と述べた。
黒田東彦総裁は6月16日の決定会合の会見で、物価目標2%の達成前にETF購入を減らす可能性は「理論的にはあり得る」との見方を示す一方で、「全体の金融緩和の一環なので、2%の物価目標と離れて、これはこれで違うようにするという考えはないと思う」と述べた。

13年4月の異次元緩和開始時は日経平均型とTOPIX型のETF買い入れ額はおおむねきっ抗していたが、昨年7月の買い入れ倍増を機に一部の日経平均採用銘柄の株価をゆがめているとの批判が高まり、同年9月にTOPIX型を7割強に増やし、日経平均型は25%に縮小した。

物価上昇率は目標の2%を大きく下回っており、黒田総裁の来年4月の任期満了までに何らかの政策変更があるとの見方は少なくなっている。
今週の金融政策決定会合では、18年度ごろとしている2%の達成時期を先送りするかどうかが焦点となっている。

複数の関係者によると、引き続き達成は可能との見方がある一方で、足元の物価の弱さを考えれば先送りもやむを得ないとの声も出ている。