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[東京 19日 ロイター] - 経営破綻したタカタ(7312.T)のエアバッグに新たなリコール(回収・無償修理)拡大の懸念が出ている。米当局は11日、同社が安全としてきた乾燥剤入りエアバッグについて初めて一部のリコールを発表、別の乾燥剤入り製品の安全性も2019年末までに証明するようタカタに要請している。

証明できない場合は乾燥剤入り製品すべてがリコールとなる公算が大きく、費用負担が現状からほぼ倍に膨らむ恐れがある。

これまで実施されたリコールは乾燥剤なし製品約1億個が対象で、搭載車両を持つ自動車メーカー各社が総額1兆円規模の巨額費用をほぼ肩代わりしてきた。タカタが民事再生手続きに入ったため、その費用の大半は回収困難とみられている。乾燥剤入りにもリコールが広がりつつある中、車メーカー側がさらに大きな負担を抱える事態も予想される。

<「乾燥剤入り」の一部をリコール>

タカタ製エアバッグは、火薬として使っている硝酸アンモニウムが高温多湿の環境に長期間さらされると爆発力が想定を超え、異常破裂する恐れが指摘されている。異常破裂によってエアバッグを膨らませる部品(インフレーター)の金属容器が飛び散り、乗員の首に刺さるなどの事故が起きており、死者は少なくとも海外全体で18人、負傷者は世界で180人超に及んでいる。

これまでのリコールは湿気を防ぐ乾燥剤が入っていない製品だけが対象だったが、米運輸省道路交通安全局(NHTSA)が11日に発表したリコールは、タカタが05年から12年にかけて生産し、「硫酸カルシウム」を乾燥剤として使ったエアバッグ270万個だ。タカタの調査で異常破裂する恐れがあることが判明したためだ。

対象車は米フォード・モーター(F.N)で約220万台、日産自動車(7201.T)で約62万7000台(うち約51万台が米国)、マツダ(7261.T)で約6000台。タカタによると、対象製品の供給は北米が中心で、日本にリコールが広がることはないという。

<米国で12人目の死者>   

タカタにはもう1種類、「ゼオライト系」と呼ばれる別の乾燥剤を使い、交換用として供給を続けている製品がある。今のところ不具合が確認されておらず、リコール対象にはなっていない。ただ、NHTSAは15年11月、乾燥剤入りすべての安全性と耐用年数を19年末までに証明するようタカタに指示しており、「(ゼオライト系の)別の乾燥剤入りも安全という証拠がなければ、リコールの対象となる」という。タカタは引き続き「安全性の証明を目指す」(同社広報)との姿勢だ。

今月10日にはホンダ(7267.T)が、米国で昨年起きた同社の車による死亡事故について、リコール対象だった乾燥剤なし製品の異常破裂による可能性が高いと発表した。ホンダによる同国で12人目となるタカタ製エアバッグによる犠牲者の判明と乾燥剤入り製品の一部リコールを受け、米上院議員らは運輸長官とNHTSAのトップに書簡を送り、消費者を守るため乾燥剤入りすべてをリコールするよう強く要請している。 

仮にタカタが19年末までに安全性を証明できなかった場合、あるいは新たな事故によって米国で批判が高まる事態が起きれば、同社の乾燥剤入りエアバッグすべてのリコールが決まる可能性がある。
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2017年 7月 19日 5:36 PM JST