処理水の海洋放出関連 全漁連会長「極めて遺憾」

東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した後に残る放射性物質トリチウムを含んだ処理水の海洋放出を巡り、川村隆・東電会長の発言が波紋を広げている。
全国漁業協同組合連合会(全漁連)は19日に川村会長らを呼んで抗議。
一方、原子力規制委員会の田中俊一委員長は同日の記者会見で、川村会長の言動を「はらわたが煮えくり返る」と非難した。

きっかけは共同通信の13日の報道。処理水の海洋放出について、川村会長が「判断はもうしている」と発言したと報じた。
これを受けて全漁連の岸宏会長は19日、川村会長に「極めて遺憾」とする文書を手渡した。だが、川村会長は「会社としても個人としても海洋放出を判断した事実はない」と否定。

「結果として漁業関係者に不安と迷惑をおかけした」と陳謝し、配慮が足りない発言だったことを認めた。
処理水の処分については「国や漁業者を含む関係者と慎重に検討を進める」と話した。

また、報道では、川村会長が規制委の田中委員長の「国の基準値以下での海洋放出は安全上問題ない」との考えを引き合いに海洋放出に言及したと伝えた。
田中委員長は同日、「私を口実にするのは、事故の当事者として私が求めていた(地元と)向き合う姿勢とは違う。(このままでは)この問題は解決しない」と述べた。

福島第1原発の敷地内のタンクに収められている処理水は約78万トンに上る。規制委は海洋放出を求めており、国は有識者による小委員会で処分方法を議論している。【岡田英、柳楽未来】

配信 2017年7月19日 20時41分(最終更新 7月19日 20時44分)
毎日新聞
https://mainichi.jp/articles/20170720/k00/00m/040/080000c