大阪府・市がカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致に成功した場合、予定地の夢洲(ゆめしま)への交通網など再開発が進みそうだ。
京阪ホールディングス(HD)は京阪中之島線を地下鉄中央線に接続、夢洲―京都間のアクセス鉄道にする。
近鉄グループHDは水族館「海遊館」の夢洲移転を検討している。IRと国際博覧会(万博)は関西経済浮揚の起爆剤として期待されており、人の流れも大きく変える可能性がある。

京阪HDの加藤好文社長は「夢洲へのIR誘致が決まれば、中之島駅から南西に進んで地下鉄中央線の九条駅につなげる」との考えを明らかにした。
これまで中之島線はJR西日本と阪神電気鉄道の駅がある西九条駅まで延ばす構想だった。

京阪神の中長期的な鉄道網を示した近畿地方交通審議会の2004年の答申では、神戸や関西国際空港方面への移動が便利になるとして西九条駅までの整備を検討する必要があると結論づけた。
九条駅への変更について加藤社長は「九条駅で中央線とつなげば、京都とIRのある夢洲が結ばれる」と説明する。夢洲―祇園四条を1時間強で結び、京都観光で訪れた訪日外国人を夢洲に運ぶインバウンド路線にする。

近鉄グループHDは海遊館を天保山地区から夢洲へ移転することを検討している。海遊館は大阪湾ベイエリア開発として1990年に開業し、2015年に近鉄グループHDが経営を引き継いだ。
年間入場者200万人以上で、周辺には観覧車や商業施設などがあり、多くの観光客が訪れる。海遊館では大規模改修を計画するが、巨大水槽など改修費が高額になる見通し。このため「移転も選択肢の1つ」(幹部)という。

夢洲への交通手段は現在は自動車に限られている。IRと万博が決まれば、公共交通の整備も一気に進む。大阪市営地下鉄は計画を凍結していた中央線のコスモスクエア駅から夢洲までの延伸工事に着手し、24年の運行開始を目指す。
JR西日本も桜島駅止まりだった桜島線を夢洲まで延ばすことを検討する。このほか夢洲と舞洲をつなぐ橋の車線を4から6に広げる。関空や神戸空港から夢洲を船で結ぶ航路もできる可能性がある。

■IR開設地 18年以降決定

カジノを含む統合型リゾート(IR)は今秋の国会でIR実施法が成立すれば、2018年以降に開設地域が決まる予定だ。国際博覧会(万博)は18年秋の博覧会国際事務局(BIE)総会で開催地が決定する。
経済団体や自治体で構成する夢洲まちづくり構想検討会によると、夢洲では24年にIR建設地の1期部分、25年に万博会場の2期部分が完成する計画だ。

将来は長期滞在が可能なリゾート地区の開発も進める。すべて完成した場合は年間3000万人の集客を見込む。

IR・万博の誘致が決まれば再開発が進む
http://www.nikkei.com/content/pic/20170721/96958A9F889DE3EBE2EAE2E3EBE2E0E2E2E5E0E2E3E59E9993E2E2E2-DSXMZO1908020020072017LKA001-PN1-5.jpg

配信 2017/7/21 2:30
日本経済新聞
http://www.nikkei.com/article/DGXMZO19080190Q7A720C1LKA000/