もはや次世代ホープではない。“ポスト安倍”の一人、小泉進次郎氏(36)は、どのような自民党再生案を描くのか。この7年、同氏を追い続けてきたノンフィクションライター・常井健一氏の膨大な取材メモに、その手がかりは残されていた。

 * * *
 かつて小泉がトップを務めた党青年局には18〜25歳が入れる学生部が存在する。現状はプロパガンダ集団の1つに過ぎないが、18歳選挙権に応じた組織に作り替え、若者特有の課題解決を政権公約に反映させるなど政治的な目的を明確にしたら、社会に役立つ場に生まれ変わるかもしれない。政治家志望者に限らず、ITリテラシーが高い起業家の卵も集め、SNS時代に乗り遅れた政党広報の刷新を思い切って彼らに任せてみる。

 そこで、考えられる再建策が「トランプ型党広報」だ。米国で新政権が発足した頃、小泉はこう唱えていた。

「トランプ大統領とツイッター。この関係を一言で表すと『中抜きの時代』への突入。メディアの中抜きですよ。

 これまではプレスリリースを発表して、プレスから国民に伝わる。AIやIoTがもたらす第4次産業革命という言葉もありますが、今は政治家が一人ひとりのスマホと直につながる時代なんです」

 近年、旧民主党のように党幹部の定例記者会見を雑誌の書き手など記者クラブ非加盟者にも開放する試みやネットの生中継が「新しい」とされてきた。小泉ならば、既存の政治報道そのものを疑い、マスメディアに一切頼らない発信こそが「新しい」と考えるだろう。

 ひょっとしたら、党にニュース番組を作らせ、小泉がキャスターを買って出るのでは。そう思うのは、衆院選応援の移動中に政治報道についてこんな感想を聞いたことがあるからだ。

2/2ページ
「討論番組ってひどいね。とりあえず全党を呼んで、満遍なく回すというやり方をやっている。政治に対する関心を失わせる気がしたね。まず、面白くないでしょ。

 米国のFOXやCNNみたいに支持党派をはっきりした方がいい。局レベルでなく、番組ごとでもいい。BSの番組はけっこう見られているでしょう。あれって、『この政治家に聞こう』と決めて呼ぶから面白い」

 小泉は2010年秋、党の新聞出版局次長に就任するとタブロイド判の党機関紙のリニューアルを手掛けた。特別号の紙面デザイン案を公募で決め、紙とネットの連動を実験した経験もある。

https://www.news-postseven.com/archives/20170806_601528.html?PAGE=1#container
https://parts.news-postseven.com/picture/2017/08/P37koizumi2.jpg