国がJR北海道の路線維持策として設けた経営安定基金(当初6822億円)の運用益が、1987年のJR発足時の想定に比べ、過去30年間で総額約4600億円不足していることが、北海道新聞の調べでわかった。国の追加支援を加味しても、不足額は約3700億円に上る。こうした運用益不足はJR経営悪化の根本的な原因となっており、沿線自治体などが国に抜本的な支援を求める有力な根拠となりそうだ。

87年のJR発足時、国は北海道、九州、四国の3島会社に計約1兆3千億円の経営安定基金を設け、その運用益で黒字化をする方法を採用した。JR北海道の場合、政府は年間498億円の赤字が不可避だと認定し、これを当時の長期金利「年7・3%」で逆算して6822億円という金額をはじき出した。金利が想定通りなら、2017年3月期までの30年間で計1兆4940億円が入るはずだった。

ところが政府の見通しは外れ、金利は年を追うごとに低下。運用益は、JRの経営努力とは無関係に大きく目減りした。

例えば運用利回りが3・39%にとどまった08年度は、当初想定からの不足額が267億円。実際に入った30年間の運用益を合算すると計1兆342億円で、不足額は4598億円に上っている。

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配信08/25 09:02 更新
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