早稲田「紺碧の空奨学金」 好条件も応募者わずか3人の理由
AERA:2017.8.26 07:00
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経済状況別の大学等進学率(専修学校含む)/出典:日本財団・三菱UFJリサーチ&コンサルティング「子どもの貧困の社会的損失推計」(2015) (AERA 2017年8月28日号より)

 オープンキャンパス真っ盛りのこの季節。最近では親同伴で学内を回る姿も珍しくない。
教育環境や入試倍率、学費もそうだが、“出口”の就職率なども気になるところ。AERA 8月28日号で、コスパのいい進学先を調べてみた。

 早稲田が児童養護施設出身者に奨学金を新設し話題となったが、好条件の奨学金制度にもかかわらず、応募者はわずか3人だったという。今後の課題を聞いた。

*  *  *

 奨学金が社会問題となり、大学独自の給付型奨学金を創設する動きが広まっている。
早稲田大学は2016年、児童養護施設入所者または出身者を対象とした「紺碧の空奨学金」を新設し、話題になった。

 早稲田の入学試験に合格し採用されれば、入学検定料、入学金、授業料や実験実習料などが全額免除となり、さらには最大月額9万円が在学中の4年間支給される。
その狙いを齊藤泰治学生部長は、

「経済的理由で大学への進学を断念する子どもたちのなかにも、本当は勉強したい若者がいる。社会全体で育てていく必要があり、大学もその一端を担う必要がある」

 ただ、初年度の応募はわずか3件。問い合わせも10件程度にとどまった。実際に入学試験を受けるに至った者はおらず、採用者は出なかった。
岡崎成光奨学課長は「大学も学ぶことが多かった」と振り返る。
養護施設に広報して回るも「早稲田を受験できるような学力のある子どもはいない」。ある地方の施設では「宇宙に行くくらい難しい」と言われたこともあった。

 また、想定外だったのは、問い合わせは養護施設ではなく、里親やファミリーホームの入所者、関係者からが多かったことだという。岡崎奨学課長はこう話す。

「3件の応募のうち1件は里親親子で対象にならず、応募から書類申請に進んだのは2人。今年は対象を広げ、里親家庭の里子やファミリーホーム入所者なども応募できるように制度を変えました」

 初年度は想定より応募は少なく、採用者も出なかったが、それでも対象となる子どもがいることが分かったのは収穫だったという。

「書類申請を通過した2人ともが結局は受験をしなかったが、1人は地方の国立大学に進学したと聞く。
新しい奨学金制度で、早稲田を目指せる子どもはいる。そんな彼らが入学して早稲田で学び、その姿を見てまた応募者が増えれば嬉しい」(岡崎奨学課長)

 まだまだ制度の周知が必要で、職員自らが施設等に出向き、広報活動を続けている。

※AERA 2017年8月28日号



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