日銀は4日、共働き世帯ほど所得を貯蓄にまわす傾向があるとしたリポートを公表した。共働き世帯は専業主婦世帯と比べ、所得が同じでも貯蓄率が0.8%ほど高くなる。ここ数年は共働き世帯の増加が目立っている。共働きだと世帯の所得は多くなるが、所得の伸びほどには消費が増えない可能性がある。

 共働きの世帯は専業主婦世帯よりも可処分所得が2割強多いが、消費支出は1割程度しか多くない。その分、貯蓄に回っている。世帯の合計所得が近い世帯同士で比べても、共働き世帯の方が貯蓄に回す傾向が明確だった。ここ数年、家計全体の貯蓄率が上昇傾向にあるが、共働き世帯が増えていることが影響しているという。

 共働きの増加による消費への波及は鈍いものの、所得の増加を通じて「消費全体を相応に下支えしている」という。2012年から共働きの女性数が増えなかったと仮定して試算したところ、17年1〜3月期の実質個人消費は実績よりも0.8%ほど少なくなった。年換算すると2兆円強の規模になる。

 今回のリポートでは共働き世帯のほうが貯蓄をする傾向の背景までは示していない。日銀も「原因はよく分からない」としている。世代別に共働き世帯の貯蓄を詳しく見るなどといった分析が課題になりそうだ。

配信2017/9/4 19:47
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFS04H82_U7A900C1EE8000/