http://jp.reuters.com/article/myanmar-rohingya-insurgents-idJPKCN1BN0HR

Wa Lone and Antoni Slodkowski

[ヤンゴン 7日 ロイター] - ミャンマー北西部の紛争について約1年に及ぶ調査を終えたアナン前国連事務総長は先月24日、イスラム系少数民族ロヒンギャ武装勢力の暴動に対する同国治安部隊による過剰な軍事報復は、両者の対立をいっそう悪化させるだけだと警告した。

この警告のわずか3時間後、同日午後8時過ぎに、ロヒンギャ反体制勢力の指導者アタ・ウラー氏は、支持者に対し、武器として使える金属製品をもって、人里離れたマユ山の麓に向かうよう促した。

夜半過ぎ、寄せ集めのロヒンギャ武装勢力が、国内最大都市ヤンゴンから600キロ北西の地域で、ナイフやこん棒、小火器や原始的な爆発物を使い、警察の拠点30カ所と軍基地1カ所を襲撃した。

「200─300人が出撃すれば、50人は命を落とすだろう。神のご意志で、残りの150人はナイフで彼らを殺すことができる」。アタ・ウラー氏は、別の音声メッセージで支持者にそう語りかけた。このメッセージは、襲撃時刻の前後に携帯電話のメッセージアプリで流れ、その後ロイターは録音された同メッセージを確認した。

アタ・ウラー氏率いる「アラカン・ロヒンギャ救世軍(ARSA)」による今回の襲撃は、これまでの最大規模となった。

このグループが初めて登場した昨年10月には、約400人の戦闘員が動員されたとミャンマー政府は推定しており、その時の襲撃対象は警察の国境検問所3カ所だけだった。今回の襲撃には最大6500人が参加した、とミャンマー軍は推測している。

昨年10月の襲撃後に行われたミャンマー軍による弾圧に刺激されたロヒンギャの若者多数が、ARSAの支持に回った。そのため同組織は以前と比べはるかに大規模な襲撃を仕掛ける能力を得たという。ロヒンギャ、ラカイン州住民、治安部隊隊員、現地の行政官など10数人に対するロイターの取材で明らかになった。

10月の苛酷な報復は、軍部隊が複数の村を焼き払い、民間人に対して殺害や強姦を行ったという疑惑に発展している。

民族対立の深まるラカイン州の危機は、ミャンマーの指導者アウン・サン・スー・チー氏が抱える最大の試練と化している。この問題におけるスー・チー氏の対応は、民主化の旗手として彼女をこれまで支持してきた西側諸国の人々を幻滅させている。

国連のグテレス事務総長は5日、ミャンマー当局に対し、ロヒンギャのムスリムに対する暴力を止めるよう要請し、民族浄化や人道的危機、そして地域の不安定化を引き起こす可能性があると警告した。

数世代にわたってアパルトヘイト(人種隔離政策)に近い条件の下で暮らしているムスリム少数民族の不満に、スー・チー氏が対応できなかったことによって、彼らの間で武装勢力に対する支持が高まっている、とロヒンギャの指導者や複数の政策アナリストは指摘する。
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2017年9月12日 / 08:35 / 6時間前更新