埼玉県と群馬県にある系列総菜店のバイキング式の総菜を食べた人たちが腸管出血性大腸菌O157に感染した集団食中毒の発生を受け、十勝管内のスーパーの総菜売り場では、ばら売りを中止したり、不特定多数が使うトング(総菜を取る道具)の消毒回数を増やすなどの動きが相次いでいる。背景には発生後、ポテトサラダなどの売れ行きが落ちているといった課題もあり、安全対策の強化で少しでも消費者に安心をアピールしたい考えだ。

総菜のばら売り販売は少子化や高齢化が進んで一定のニーズがあり、多くのスーパーが実施している。企業間で差はあるが、売り上げ構成比は全体の10%前後を占めるという。

管内では福原(帯広)がフクハラ全店で19日、ばら売り販売を中止。店舗によってアイテム数は違うが、これまで揚げ物や焼き鳥などを販売してきた。デリカ課は「衛生面の運用はこれまで以上に強化した。群馬の原因がはっきり分かっていない以上、ばら売りで何か起こった場合のことを考えて判断した」とし、「パック販売を増やして対応している。原因が究明できた時点で、衛生面を強化した形で販売の再開を考えている」と説明する。

コープさっぽろ(札幌)は今月中旬から全店で、総菜のばら売りコーナーで使うトングの交換、洗浄、消毒を1時間ごとに行うよう変更し、店頭にも表示している。帯広地区本部は「今までも複数回交換していたが、統一基準はなかった。総菜全体に占めるばら売りの構成比が約2割と他社に比べ高いので、消費者に安心感を持ってもらいたい」とする。

ダイイチ(帯広)も15日付で全店に、1時間ごとのトングの交換殺菌を含めた安全対策の徹底に関する文書を配布し、各店で取り組みを進めている。

ハピオ木野(音更)も中旬から交換回数の表示を店頭で始めたほか、ばら売りコーナー前に除菌用のウエットティッシュの設置を始めた。「これまでより数時間早く、ばら売りからパック詰めにするなど、早めの対応を意識している」という。

多くが「消費者からの直接的な問い合わせはあまりない」と話すが、埼玉、群馬の集団食中毒報道が出て以降、特に当初、原因が疑われたポテトサラダを中心に売り上げが低迷しているという。

ある会社は「ポテトサラダの廃棄率が2・5倍以上増えた」、別の会社も「夜まで売れ残り、値引き率が増えた。売り上げも前年同月より10%落ちた」と打ち明ける。(佐藤いづみ)

9/21(木) 14:06
十勝毎日新聞
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