ファーストリテイリング傘下のユニクロがヒット商品不足の壁にぶつかっている。25日、発売から15年目となる肌着「ヒートテック」の新商品発表会を開いた。機能性衣料を安く売るヒートテックは改良を重ね累計10億枚を販売するに至ったが、他社の参入で目新しさは薄れる。商品力で新たな強みを確立することが売上高5兆円という目標の達成には避けて通れない道だ。

 「ヒートテックは世界中の冬の生活を変えた」。25日、都内で記者会見した国井圭浩グループ上席執行役員は胸を張った。東レと共同開発したヒートテックは消臭や抗菌、保湿など毎年機能を追加。2017年は縫い目をなくしてシャツの下でも目立たない男性向け商品を投入し、保湿効果などが期待される「アルガンオイル」を繊維に練り込んだ商品数を増やす。

 ヒートテックは肌着といえば綿という常識を変え、薄手で暖かい衣料を手の届く値段で提供。2000年前後にユニクロ飛躍のきっかけとなった「フリース」に続くヒットで、「ユニクロ=機能×低価格」という現在のイメージを定着させた立役者だ。

 09年の軽量で暖かい「ウルトラライトダウン」、13年に名称統一で本格展開した吸汗速乾機能を持つ夏用肌着「エアリズム」などは、ヒートテックがつくり出したイメージそのままにヒットした。欧州やアジアでも機能性商品は高い評価を受け、ユニクロというブランドの名刺代わりとなる基幹商品だ。

 ただ15年の間に競合他社も同様に発熱保温など機能性をうたう商品を投入。「ヒートテックに似た他店の商品でも十分だった」(都内に住む30代女性)と、一時ユニクロが値上げした関係で客離れも起きた。今でも圧倒的な存在感を示すが、機能性商品を安く販売するだけでは消費者を引き付け続けるのは難しい。

 「新商品開発がまだまだ足りていないのは、事実だ」。国井氏は消費者に強い驚きを与える商品をここ数年間、提供できていない現状を認める。15〜16年に「ガウチョパンツ」や「スカンツ」を相次ぎヒットさせた弟ブランド「ジーユー」に、ヒットメーカーの役割を譲ったかのようにみえたことさえあった。

 ただ、ヒットが生まれない現状に手をこまねいているわけではない。「一朝一夕にヒットは生まれない。機能性の商品だけでなく、世界中の才能とコラボすることでも世の中を驚かせていく」(国井氏)。今秋に英国で注目される新鋭ブランド「JWアンダーソン」とコラボした商品を投入。高級ブランドのノウハウを生かしたジーンズづくりも始めた。

 機能性に続く強い商品力や販売手法の確立に加えて、業務のIT(情報技術)化による生産性の向上も求められる。目標実現のために残された時間は少ない。(岩戸寿)

ヒートテックは着心地などを毎年改善している(東京・渋谷)
https://www.nikkei.com/content/pic/20170925/96958A9E93819688E0E79B9A828DE0E7E2EBE0E2E3E58698E0E2E2E2-DSXMZO2151875025092017TJ2001-PN1-2.jpg

配信2017/9/25 22:44
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ25IHP_V20C17A9TJ2000/

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