https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00445039?twinews=20171002

経済社会活動に大きな影響を与える台風や集中豪雨の発生。そうした事態を少しでも防ごうと、
気象庁は、予報・予測精度を2018年度中に向上する。台風の中心気圧や最大風速といった情報を、
現在より2日多い5日先まで予報できるようにするほか、集中豪雨の降水量を、現在の2倍以上となる
15時間先まで予測する。防災情報を事業継続計画(BCP)に役立てれば、被害や経済損失を
最小限に抑えられる可能性がある。

【計算能力10倍】

気象庁は18年度予算の概算要求で、計算能力を強化したスーパーコンピューターシステムの整備に
約41億円を盛り込んだ。同システムは16年度から整備を進めており、投資金額は3年間の合計で
70億円程度の見込み。18年6月に運用を始める。

導入するスパコンは、既存のものに比べて10倍高い計算能力を持つ。そのため、静止気象衛星
「ひまわり8号」からの観測データについて、より頻度や解像度が高い状態で、将来の大気の状態を
予測するシミュレーションに使える。

さらに、従来に比べて台風の強度予測の精度を約30%向上できる手法も導入。台風の中心気圧や
最大風速といった情報が、5日先まで予測できる。

【早期避難可能に】

一方、集中豪雨に伴う詳細な降水量予測も、スパコンの能力向上で既存より9時間長い
15時間先まで延長される。

従来は翌日の3時ころに警報級の大雨が降ると予測した場合、前日の21時ごろに警報などを発表していた。
だが夜間の避難は危険を伴う。特に高齢者にとってはハードルが高い。15時間前に詳細な降水量を
予測できれば、前日の正午には危険性を知らせられる。自治体は住民に対し、早めの避難を呼びかけられる。

気象庁予報部業務課の新井隆之調査官は、14年8月に広島市内を襲い、77人が犠牲になった
集中豪雨による土砂災害を例に挙げる。「広島市安佐北区では土砂災害警戒情報が真夜中の
1時15分に発表された。集中豪雨の予測技術向上は、早め早めの避難行動につながる」と期待する。


スパコンで台風強度の予測精度を向上
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