兵庫県・淡路島の海辺にある静かな住宅地。2年前、国内最大の指定暴力団山口組が分裂し、対立する神戸山口組の本部が突然置かれた。以前から暴力団事務所はあったが、全国から直系組長らが集まる拠点になり、幹部らを乗せた数十台の車が周辺にあふれるなど、街は物々しい雰囲気に包まれるようになった。

 観光の島のイメージダウンにもつながりかねない。住民らは危機感を募らせ、昨年10月、地元の防犯協会などと「暴力団追放淡路市民の会」をつくった。集会を開き、のぼり旗を立て、暴力団排除を訴えた。県警も今年4月、淡路市が本部前に取得した土地に「特別警戒所」を設け、組員らの監視態勢を強めた。

 だが、本部は消えず、暴力団幹部らの会合もやむ気配がない。近くの60代男性は「近所で組員を見かけることが増えた。抗争で流れ弾が飛んでくるのではと不安だ」と打ち明ける。周辺には小中学校や高校もある。

 事態の打開に向けて注目したのが、他府県で成果を上げている暴追センターによる代理訴訟だった。今年8月、事務所の使用差し止めを求める仮処分申請の方針を固め、地域を巡回して暴追センターに手続きを委託する住民を募った。

 そのさなかの9月12日、神戸…

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