https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171015-00000008-san-l40

衆院選の情勢調査で「希望の党」が伸び悩む中、九州・山口の同党公認候補では、
党名を選挙戦でフル活用するか、対応が分かれている。知名度の低い新人は
積極活用するが、民進党からの合流組はおおむね控えめだ。対立候補が
政党乗り換えに批判を強めており、追い風が吹かない中、党を前面に出すことによる
票離れを危惧する声も出ている。 

「こちらは、小池百合子東京都知事を代表といたします、希望の党、希望の党でございます」

12日、福岡1区から出馬した新人の石井英俊氏(41)は、JR博多駅前で演説し、
7分間で17回、「希望の党」と発言した。

「昨年の参院選を『日本のこころ』で戦ったが、希望(の党)というと、明らかに反応が良い。
チラシを配ってもどんどん取ってくれるし、家から出てきてくれる。こんなの初めてだ」。
石井氏はこう語った。

石井氏は参院選で落選した。希望からの出馬で、初当選をたぐり寄せようと狙う。
小池氏の来援も切望しており、「来るのと来ないのでは印象が違う。代表として一度は
入っていただきたい」と訴えた。

ただ、報道各社の序盤調査では、希望の党が堅調とは言い難い。石井氏の応援演説に
訪れた中山成彬元文部科学相は、報道陣の取材に「風、吹かせてくれよ」と嘆いた。
中山氏は同党から比例(九州ブロック)単独で立候補している。

■掘り起こしに疑問

福岡2区から出馬した元職、稲富修二氏(47)は、公示日の出陣式で「希望の党」と
一度も言わず、街頭演説でもほとんど発していない。

党名を活用しないことについて、稲富氏は「民進党のときからそうしている。政党は良いときも
悪いときもある。党に頼らず、自分の力でやらないといけないことが、前の選挙の教訓だった」
と説明する。記者から「党名が新たな票の掘り起こしになるのでは」と問われると
「そうでしょうか」と首をかしげた。

稲富氏は民主党が政権を奪った平成21年衆院選で同党から出馬し、初当選した。
しかし、続く24年、26年衆院選は落選した。

その後、民主党は民進党に変わり、共産党との共闘を進めた。

稲富陣営の幹部は「共産党と協力したことで、保守系の人から敬遠された。党名を出すのが
必ずしも良いとは限らない。党名より人や政策をアピールすることが重要だ」と強調する。

民進党出身者を中心に、「希望」より「自分」を前面に出す向きは強い。

佐賀2区の前職、大串博志氏(52)は12日、佐賀県玄海町で行った決起大会で
「私は(民進党時代に)政調会長を務め、野党第一党の幹部として仕事をした。安心して
任せられる希望の党を、私が責任を持って作っていく。どうか私に託してほしい」とアピールした。

大串氏は取材に「希望の党を前面に押し出しても、期待を集める状況じゃない。
むしろ私が作っていくと言わざるをえない」と語った。

小池氏は16日の九州入りが予定される。応援に沸く陣営がある一方、支持の伸び悩みによる
逆効果を懸念する声もある。民進党出身のある候補者の陣営からは「こんな状況で来てほしくない」
という声もあがった。