市場にほとんど出ない幻の高級魚「サツキマス」の養殖事業に取り組む高知の企業が、水深200メートル以上にある海水・海洋深層水を使った独自の方法で食用として成長させることに成功した。深層水を使うことで病気を防ぐ投薬が不要になるといい、改善を加えた上で、来年度には1万匹を養殖し、本格販売を目指す。

■海洋深層水を活用

 エネルギー関連会社「ヒワサキ」(本社・高知市)が多角経営の一環として昨年9月から養殖事業に進出。美味で知られ、収益性の高い高級食材のサツキマスを選び、高知大学や高知県などの協力も得て、研究を進めていた。

 サケ科のサツキマスは、河川で産まれたアマゴが海まで下りて成魚になったもので、養殖でも淡水から海水へ移行させながら成長させる高度な技術が必要だった。同社では、サツキマスの生態に適した低温で、細菌などの極めて少ない海洋深層水を活用し、徐々に水槽の海水濃度を上げていくなど独自の方法を確立。2度目の試験で88%の魚が海水になじむ成果が確認された。

■クセのない上品な味

 養殖によって成魚となったサツキマスは、放流前の5倍にあたる平均500グラムにまで成長。試食会では、天然のものに負けず、クセのない上品な味が参加者にも高い評価を得た。深層水を使うことで、食品としての安全性も高いという。

 現時点では成魚の個体差が大きく、旬の時期を調整できないなどの課題も残るが、同社の酒井敦巳・水産養殖課長は「深層水を使うことで、病気を防ぐ投薬の必要がなく、コスト減のメリットは事業として大きい。改良を加え、売れる魚を目指したい」と話す。

2017.10.16 09:40
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