北朝鮮による弾道ミサイルの発射が相次ぐ中、津市はミサイルが三重県上空を通過したと判断された場合に限って危機対策本部を設置し、情報収集など緊急時の対応をとることを決めました。これまでは中国地方の上空を通過する可能性がある場合でも対応することになっていて、津市は「市民に無用な不安感を与えない現実に即した対応だ」としています。

政府は北朝鮮によるミサイルの発射があった場合、全国を9つの地域に分けてJアラート=全国瞬時警報システムを使って避難などを呼びかけていて、三重県は中部地方だけでなく近畿や中国地方の上空を通過する可能性がある場合でも対象地域に含まれています。

津市はこうした場合、市の国民保護計画に基づいて市長を本部長とする危機対策本部を設置して緊急時の対応をとることになっていました。

しかし市は先月、対応を見直し、ミサイルが三重県上空を通過したと判断された場合に限って対策本部を設置して、情報収集や職員の参集、必要に応じて住民の救助などの対応をとることを決めました。

また、隣接する6つの府県をミサイルが通過した場合は、次長級が集まる連絡調整会議を開き、対応の協議を始めるとしています。

これについて津市は、職員の適度な緊張感を維持し、危機意識が形骸化するのを防ぐとともに、市民に無用の不安感を与えない現実的な対応をとったと説明しています。

津市「市民に不安感与えない」

津市危機管理課の長脇勝課長は「職員の緊張感の確保と危機管理意識の形骸化を防ぐとともに、市の動きで市民に不安感を与えないよう改めた。北朝鮮のミサイルに対して、効率的で実践的な対応ができる体制にしていきたい」と話しています。

専門家「現実的だ」

緊急時の情報伝達について研究している東洋大学の中村功教授は、「ミサイルが上空を通過していない場合であれば、それほど大きな対応をとる必要はなく、ある程度、段階を経た対応は現実的だと思う。ミサイル発射ような緊急事態は市町村だけが考えられる問題ではないので、国が、市町村にはどのような業務が必要なのか、モデルケースや想定を出して考えてもらうことが必要ではないか」と話しています。


10月17日 10時57分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20171017/k10011180161000.html